エロ漫画雑誌の背表紙の特徴について、注意深く観察をしてみた

tunderealrovski2009-08-28

 
今回のエントリでは、エロ漫画雑誌の背表紙について色々と書いてみたいと思います。
 
「成年漫画雑誌の背表紙? そんなの見て何が楽しいのよ?」と思われるかもしれませんが、いやいや、これが各雑誌のカラーがそれぞれに出ていて、注意して見てみると非常におもしろいんですよ。
 
先ず、エロ漫画雑誌の背表紙全般に言える大きな特徴の一つとして、漫画家さんの名前が全面に出ているものが多いという点が挙げられます。
例として、エロ漫画界の大手出版社である、コアマガジン社の「コミック メガストアの背表紙を見てみましょう。
 
●コミック メガストア

 
ご覧の通り、その号の目玉である作家さん二人のお名前を取り上げ、作品の簡単なキャッチコピーを付けるというフォーマットをとっています。
 
これは何故かというと、エロ漫画雑誌に掲載されている作品のほとんどが、短編の読みきり作品だからではないかと考えられます。
連載陣や作品が固定されている一般の漫画雑誌と異なり、漫画家さんの顔ぶれや作品が毎月変わる成年漫画雑誌は、実際に手に取るまで中身が分かりづらい雑誌です。ですから、書店に並べた時に、その号にどの漫画家さんのどんな作品が載っているのかを、こういった部分でアピールをしているのではないかと思うのです。
 
で、その見せ方やデザインに、各出版社や雑誌毎の個性や特徴が出ていて、非常におもしろいのです。
 
 

コアマガジン

●コミック メガストアH●

 
前述した「コミック メガストア以外のコアマガジンから出版されている成年漫画雑誌を見てみましょう。
最近、誌面のリニューアルを行った「コミック メガストアH」。こちらは、目玉の作家さんのお名前を4名フィーチャーし、その号に付いているキャッチコピーを押し出す形となっています。
 
●COMIC 0EX●

 
メガストアHと同じく、コミック メガストアの増刊号である「COMIC 0EX(ゼロエクス)」は、ページ数がこの三誌の中で最も少なく厚みが薄いためか、背表紙に名前を出す作家さんは一名だけです。
ただ、背表紙の背景色を毎号変える他の二誌とは異なり、背景を白色で固定しているために非常に統一感が取れている印象を受けます。
 
同じ、出版社から出ている成年漫画雑誌でも、背表紙に出ている漫画家さんのお名前の数や、コピーの有無など細かな違いがあるわけですね。また、コアマガジンの雑誌でおもしろいのが、社名ロゴが雑誌毎に異なっているということです。 

上から「メガストア」「メガストアH」「0EX」の背表紙に付いているコアマガジンの社名ロゴなのですが、それぞれデザインが異なります。
う〜ん…、この違いっていうのは一体何なんでしょうね?
 
 

茜新社

COMIC TENMA

 
茜新社から出ている成年漫画雑誌は背表紙にもハッキリとした差があり、そこに各雑誌のカラーが出ているようで非常に興味深いです。
先ずは、COMIC TENMAなのですが、単行本の情報だとか誌上通販の告知だとかが細かいフォントで書かれていて、宣伝としての機能を重視しているというか、何とも商売っ気たっぷりなデザインに仕上がっています。
 
●COMIC LO●

 
対照的に、「COMIC LO」の背表紙は非常に寡黙な印象を受けます。
掲載作品や作家陣の名前すらなく、背表紙に描かれているのは、たかみち先生の描いた表紙のイラストと、毎号に付けられている個性的なキャッチコピーのみ。
背表紙一つとっても、「決してロリコンは大きな声を出さず、遠くから静かに少女たちの姿を愛でるべき」という「LO」の姿勢や哲学がよく出ていますよね。
ストイックなイメージがある中で唯一遊びを感じられるのが、誌名とコピーの間にワンポイント的に描かれている少女のシルエットです。季節や表紙イラストのイメージによって、時折デザインが少し変化するんですよね。例えば、サンプルに挙げた2009年の6月号では、少女が川遊びをしている表紙イラストに合わせて、シルエットの少女も釣り竿を持っています。
 
COMIC RIN

 
ロリ系のエロ漫画雑誌ですがアニメ絵による作品が中心で、「LO」に比べると禁忌感が少なくあっけらかんとした明るさが持ち味のCOMIC RINは、背表紙に掲載作家さんを全員分書き出すという羅列型のフォーマットを用いています。
しかもただ単に羅列するだけではなく、縦組みと横組みのフォントを併用したり、フォントの色を作家さんによって変更するなど、デザイン的にも一工夫がされています。これが「RIN」の明るいイメージによく合っているんですよね。
 
 

■富士見出版

●COMIC 桃姫●

 
富士見出版の「COMIC 桃姫」も、掲載作家さんのお名前を全て羅列する形式をとっています。
「桃姫」は、雑誌のページ数の割りに掲載作品の数が非常に多いためか、超弩級!Hコミック○本!!!POWER PLAY中!!」という、一目見ただけでその号の掲載作品が分かるコピーを付けるのが定型になっています。
そして「桃姫」の背表紙におけるもう一つの大きな特徴として、この手の漫画雑誌に珍しく成年コミック」マークが付いていることが挙げられます。
エロ漫画雑誌は、自主規制として「18禁」とか「成年向け雑誌」といったレーティングの表示をしてあるのですが、「桃姫」は背表紙に、黄色い楕円形の「成年コミック」マークを付けています。
ちなみに、表紙には「成年向け雑誌」の表示と「FOR ADULT」の警告文、更には「成年コミック」マークを併用されていて、かなり厳重にレーティング表示がされています。

この手の表示にはハッキリした決まりがなく、あくまで出版社側の自主規制に委ねられている部分が大きいようなのですが、レーティングや雑誌とコミックの扱い方への意識が見えてくるようで、非常に興味をそそられます。
 
 

■ヒット出版

●COMIC 阿口云

 
ヒット出版社「COMIC 阿口云は、毎号目玉の作家さんを四名取り上げる形をとっています。
メガストア」なら西E田先生、「TENMA」はうるし原智志先生、「LO」はたかみち先生…と、成年漫画雑誌は表紙を描く作家さんが固定されている場合が多いのですが、「阿口云」の場合は毎月表紙絵を描く作家さんが変わるため背表紙に描かれたイラストのタッチが毎月変化します。なので、並べてみると見栄えがするんですよね。
こちらも毎月変わる、鮮やかな原色を使用した背景色の変化も楽しいです。やはり長い歴史があるだけあって、非常に洗練されている印象を受けますね。
 
 

ティーアイネット

●月刊COMIC MUJIN

 
ティーアイネットの成年漫画雑誌「月刊COMIC MUJINは、掲載作品一本一本のページ数が多く、非常に厚みのある雑誌なのですが、それに対応するように背表紙に書かれた情報量も非常に濃密になっています。
先ずは、各号についている「○○○○号」という漢字四文字を使用した各号のキャッチコピー、テレカやポスターなどの応募者全員サービスの告知、二名の作家さんのお名前を大きなフォントで取り上げ、更にはその作品の簡単な紹介文、そして他の作家さんのお名前を羅列…と、とにかくギッチギチに詰まっている印象を受けます。
一見するとゴチャゴチャしているように見えますが、この猥雑な感じが「MUJIN」という雑誌のカラーに合っていて非常に気持ちがいいんですよね。
 
 

■まとめ

このように成年漫画雑誌の世界は背表紙一つとっても、そこには各雑誌の個性や特徴、デザイン的な意匠などが出ていて、注意して見てみると色々と興味深いものが見えてきます。
 
あんまり画像が多くなってしまうのもアレなので、今回はB5サイズの平綴じ、メジャーどころの雑誌のみを紹介しましたが、この他の出版社や違う版型のエロ漫画雑誌の背表紙にもそれぞれの個性や特徴が出ていておもしろいので、是非一度見てみることをお勧めしますよ。
 
 
 
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