強くて、たくましくて、おっぱいが大きな女の子 − 工藤洋「SURVIVAL GIRL」

 
今回は、私の大好きなエロ漫画家、工藤洋先生についてエントリを書いてみたいと思います。
 

昨年、ティーアイネットから発売された、工藤洋先生の初単行本「SURVIVAL GIRL」! 個人的に本当に、ほんっとうにオススメの一冊です!
 
以下、直接的な18禁画像や文章表現は出てきませんが、一応、途中から隠しておきますね。
 
いや〜、私、大好きなんですよ、工藤洋先生の漫画。
 
もしも、テレビ朝日の「アメトーーク」で「エロ漫画芸人」なんて企画があったならば、エロ漫画芸人の一人として出演し、工藤洋先生の話題だけで4時間はトークができる自信があります!
 
完全観客置いてけぼりのトーク内容に、司会の雨上がり決死隊の苦みばしった表情が目に浮かぶわっ!
何だったら、収録中にホトチンコスープ(by ケンドーコバヤシ)こと蛍原徹さんのマッシュルームカットを、放送ではモザイクかかるくらい卑猥な形に改造してやりますよっ!
 
……。
 
…うん、ゴメン。人気番組に自分が出演してエロ漫画についてトークするとか、妄想にしたって、いくらなんでも、「もしも」の使い方が図々し過ぎた。そもそも、芸人でも何でもないし! 俺の話なんて自分でもビックリするくらい、全然オモシロくないしっ!
 
ま、まぁ、とにかく、そんな誇大妄想狂染みたメガロマニアな考えを抱く程*1、私は工藤洋先生のエロ漫画が好きなんです!
 
何が、そんなに好きかって、工藤洋先生の漫画は、なんと言っても女性の描き方が素晴らしいんですよ。
 
 

■シャープな線で描かれる巨乳美少女たち

工藤漫画を語る上で欠かせないのが、その特徴的なシャープなタッチと、そこから生み出される大きな胸の描写だと思います。
とにかく、工藤作品に登場する女性は、皆胸が大きい!
 

 
巨乳も巨乳、爆乳です。*2
 
普通、これくらい大きな胸を描く漫画家さんだと、丸みを帯びた線で、女性を柔らかく描く方が多いと思うのですが(例えば、いけださくら先生とか)、工藤先生って直線的なタッチで、女の子を凄くシャープに描かれるんですよね。
 

 
といっても、「硬さ」のようなものはなくて、そこから生み出される女性の姿はあくまで柔らかく…特に、胸の描写の数々は、巨乳好きの人にはたまらないものがあると思います。シャープな線と柔らかな女性の描写、このアンビバレンツな二つの要素こそ、工藤洋先生の描く漫画の大きな魅力ではないでしょうか?
 

 
かつて、総合格闘家マーク・ケアーは、初期のPRIDEのリングにおいて「霊長類ヒト科最強」と畏怖を込めて呼ばれましたが、個人的に、工藤洋先生は「霊長類巨乳好き科最強」という称号を与えたくなる程、おっぱいの描写が素晴らしいんです。
 
ただ、工藤先生が描く女の子の素晴らしさは、その豊かな胸だけではありません。
 
 

■たくましく生きる女性の姿

工藤作品の真骨頂は、劇中で描かれる女性の力強さ、たくましさにあると思っています。
単行本「SURVIVAL GIRL」収録作品、及び「BUSTER COMIC」「夢迅 MUJIN」等の成年漫画雑誌に発表された一連の作品群は、一見するとどれもコメディー色が強く、コミカルな印象を受けるのですが、出てくる女性が大抵の場合、ちょっと普通じゃないんですよ。
 
例えば、「SURVIVAL GIRL」の表紙にもなっている「訳ありリアルドール」のヒロイン、リンコちゃん。
 

 
借金こさえて、ヤ○ザに追われています。
 
この後、リンコちゃんは、ふとしたことから主人公の元に転がり込むことになり、その豊かなバストを武器に主人公を誘惑。
 

 
まんまと、主人公の家にかくまってもらうことに成功します。
 
また、「ホームレスガール」のヒロイン、瀬野さんはタイトル通りホームレス生活をしている女の子。
 

 
コメディーとしてドラマが描かれているので、悲壮感みたいものはないんですが、冷静に考えると、かなり悲惨な境遇ですよね…。
 
こんな感じで、割かし崖っぷちだったり、逆境にいる女性が工藤作品には時折登場するのですが、どの娘も、暗さや陰みたいなものを感じさせることなく、明るく力強く、自身の人生をたくましく生き抜く姿が描かれます。
 

 
まさに単行本の「SURVIVAL GIRL」というタイトルのイメージ通り!
とにかく、工藤先生の漫画のヒロインは、どの娘もたくましくて強くて、とってもカッコ良いんです!
 
 

■ちょっぴり情けない男たち

反対に男の子たちは、大抵ダメダメで優柔不断。ちょっぴり情けなく描かれています。
 

 
その大きな胸に比例して、度胸の座ったヒロインたちとは、正反対の姿として描かれる男性像。
 
工藤漫画に登場する男の子って、どの子もカッコ悪いんだけど、それって物凄いストレートで正直な、男の本音の姿なんですよね。
中でも、個人的にグッと心を掴まれたのが以下のシーンです。
 

 
住むトコロとお金はなくとも明るく生きる女の子、瀬野さんが登場する「ホームレスガール」の1シーン。
偶然出会ったホームレスの女の子。主人公は、最初は単なる同情と親切心から彼女を助けますが、いつの間にかそれは「好き」に変わり、遂には結ばれます。
ところが翌朝、主人公が目を覚ますと、部屋に女の子の姿はなく、目の前にはまたいつもの日常があるだけ…。
主人公は、歯を磨きながら、過ぎ去った「昨日」と「女の子」に思いを馳せます。で、思わず心に浮かんだ言葉。
 

何か… 昨日が濃すぎて
今日に何も 期待出来ないな……

 
この、ちょっぴり情けなくて、カッコ悪い男の本音!
ストーリーテラーとしての作者の力量も発揮された、素晴らしい台詞だと思います。
 
強い女の子と、情けない男の子のコントラスト。これも、また工藤漫画の魅力だと思うのですよ。
 
そう考えると、登場する女性の胸が、どの娘も非常に大きく描かれているのも、その力強さや、たくましい女性像のシンボルとしての意味合いが強いのかもしれませんね。…まぁ、一番の理由は、作者が物凄い巨乳好きだからなんでしょうけど(笑)
 
個人的には、こうした作風に、アメリカの映画監督ラス・メイヤーの諸作品を連想したりもしました。

ラス・メイヤーの作品は、絶倫で、なおかつ巨乳、爆乳の持ち主であるヒロイン(しかも、大概バイセクシャル)たちが、男顔負けの活劇をする、という「ポルノ」と「映画」の中間のような内容なのですが、常識外れのバストサイズを持った女性が強さの象徴として描かれる、という辺りに、工藤洋先生の漫画と同様、男性の女性に対する、ものっそい真摯なエモーションとリビドーを自分は感じるんですよ。
ラス・メイヤーの映画は、単純にソフトポルノとしても楽しめるので、巨乳好きの方は一度ご覧になってみるのも良いかもしれませんよ。「ファスター・プッシーキャット キル!キル!」と「ワイルド・パーティー」という作品が特にオススメです。
 
 

■まとめみたいなもの

そのシャープなタッチで、人生をたくましく生き抜く女の子を描く、工藤洋先生のエロ漫画。
工藤漫画に登場する女の子たちの豊かな胸は、そうした力強さの象徴でもあります。
そんな娘たちに惹かれてしまうのは、私たち自身が弱いから? いやいや、いいじゃないですか。「健気で可憐な女の子」に惹かれるのが男の本音なら、一方で「強くてたくましい女の子」に惹かれるのも、やっぱり男の本音。
 
それを明るく肯定的に描いているのが、工藤先生の漫画なんじゃないのかな、なんて。
 
一見すると、その大きな胸にばかり目がいってしまいますが、珍しいロリコンものと思わせておいて、中盤から突如として典型的なロリコン漫画からのプログレッシヴな逸脱を見せるダークな短編「INNOCENT」のように、確かなストーリーテラーとしての実力も持つ、工藤洋先生。
 

 
現在、「BUSTER COMIC」ではストーリー連載ものの「ふぞろいと初恋」を連載中で、今後はそのシナリオ力が、より発揮されていくのではないかな、と思っています。本当に、自分にとって毎作品の発表が楽しみな漫画家さんです!
  
<関連URL>
■工藤洋『SURVIVAL GIRL』(ヘドバンしながらエロ漫画!様)
成年漫画と、スラッシュメタルに深い造詣を持っていらっしゃる、へどばん様による「SURVIVAL GIRL」のレビューです。
 
 
 

■おまけ

表紙イラストの背景に描かれた本棚をよく見てみると、本の背表紙に英語で何か文字が書かれてることに気付きました。
とりあえず自分が判別できたものだけでも抜き出してみると…。
 

 
「EXIT MUSIC」「FIVE TO ONE」「GOD SAVE THE QUEENと書いてあります。
かつて工藤洋先生は「Anarchy In the UK」というタイトルの同人誌(ちなみに、「ゼロの使い魔」本でした)を出されていたこともあるので、「GOD SAVE THE QUEEN」はイギリス国家じゃなくて、Sex Pistolsの同名曲からの引用だと思われます。
 
■Youtube - Sex Pistols / GOD SAVE THE QUEEN
 
と、すると「EXIT MUSIC」はRadioheadの、「FIVE TO ONE」はThe Doorsからの引用なのかな? UK ROCKとかお好きなんでしょうか?
 
■Youtube - Radiohead / EXIT MUSIC
■Youtube - The Doors / FIVE TO ONE
 
「SURVIVAL GIRL」収録の「雨上がりの夜空に」では、タイトルに忌野清志郎率いるロックバンド、RCサクセションの曲名を拝借し、
 
■Youtube - RCサクセション / 雨上がりの夜空に
 
漫画を描く時には懐メロが欠かせないという工藤洋先生。成年漫画家さんって、何故か音楽愛好家やロックファンが多いのですが、工藤先生もかなりの音楽好きなのかもしれませんね。
 
 

*1:脳内BGMは、OUTRAGEの名曲「Megalomania」で!

*2:しかし、「貧乳」とか「爆乳」とかアダルト文化圏で使用される、女性の胸への形容詞って、どれも凄い言葉ですよね。胸がなかったら貧しいんでしょうか、胸が大きすぎたら爆発するんでしょうか(笑)