「弱虫ペダル」の御堂筋は、実はオタクなんじゃないか? という疑惑

 
渡辺航先生の傑作スポーツ漫画弱虫ペダルを読んでいて感じた、私の妄想話をツラツラと書いてみたいと思います。
…本当に私の勝手な思い込みによる駄文なので、これから書くことは全然的外れな内容かもしれませんが、イチファンの作品に対する熱い思い入れによる暴走ということで何卒ご勘弁ください。
それから、現在雑誌連載分のネタバレを多分に含んでいますので、単行本派の方はお気を付けて!
 
 
週刊少年チャンピオンの愛読者である私は勿論「弱虫ペダル」を毎週楽しく読んでいます。
インターハイが開幕し物語的には更に盛り上がりを増しているのですが、そんな中で「弱虫ペダル」ファンの注目を一身に集めているキャラクターがいます。
 

<週刊少年チャンピオン34号 (秋田書店) P.71>
 
京都伏見高校一年、御堂筋翔。
 
以前から作中にその名前は出てきていたものの、34号にて遂にその姿を現した御堂筋。異様な風体、不気味な動き、不遜な態度、読者の神経を逆なでする挑発的な台詞の数々…。
劇中で御堂筋が使用している改造バイクを評して「ちょ…ちょっと…異様なスタイルだね…」という台詞がありましたが、その言葉に象徴される通り「弱虫ペダル」という「熱くて」「爽やかな」スポーツ漫画に突如現れた異分子、それが御堂筋翔です。
 
御堂筋は「弱虫ペダル」の中において(今のところは)徹底的にヒールのキャラクターとして描かれています。
渡辺航先生の漫画にこういった極悪人が出てくることは珍しく、それが余計に読み手に強いインパクトを与える。良くも悪くも、とにかく強烈なキャラクターです。
 
ただ、最近この御堂筋に対するある疑惑が自分の中でムクムクと湧き上がっています。というのが、この御堂筋、一見すると完全なるヒールキャラで、主人公の小野田坂道とは正反対なキャラクターのようですが、実は根っこの部分は坂道と同じでオタクなんじゃないかなと思うのです。
 
 

■御堂筋翔から何となく漂うオタク臭

御堂筋の不気味なキャラクター性をより強烈なものにしているのが、劇中で見せた異様な動きの数々です。
 

<週刊少年チャンピオン35号 (秋田書店) P.44>
 


 
不遜な台詞の数々と相まって、見る者に強烈なインパクトを与える御堂筋のアクションの描かれ方。
ただ、この理解不能な動きの数々、どこか(漫画やバラエティー番組なんかの中でデフォルメされた)オタクの挙動不審な動きに通じるところがあると思いませんか?
 
更には、アクションだけでなくポージングもかなり異常です。
例えば、こんな場面。
 


 
御堂筋が相手を挑発するシーンですが、私がこの場面を見て即座に連想をしたのが荒木飛呂彦先生のジョジョの奇妙な冒険でした。
御堂筋の身体って「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる奇抜なポージングの数々…通称、ジョジョ立ち…を、どこか連想させるものがあるように思うのです。
 
ただ単に不気味で異様なだけではなく、オタクが持つ挙動不審さと、どこかオタクっぽいジョジョ立ちのような奇抜な構図によって、御堂筋のあの動きとポージングは構成されているのではないかと。
そして、「御堂筋 = オタク説」を匂わせるニュアンスは、挙動不審な動きだけではなく、その台詞にも現れています。
 


 
御堂筋が京都伏見高校の選手を呼んだ時に発した言葉「ザク」
この「ザク」が何を表しているかは分かりません。ただ御堂筋が、テレビアニメ「機動戦士ガンダム」に登場する量産型モビルスーツ「ザク」に倣って、見下している他の選手へ「その他、大勢」「弱いけど数はいる」というニュアンスでの蔑称として、「ザク」という言葉を使っているとしたら…。
 
挙動不審な動き、ジョジョっぽいポージング、そして唐突にその口を突いて出てきた「ザク」という固有名詞…。
御堂筋翔からは、どことなく「オタク」の匂いがしてくるのです。
 
 

■更なる妄想 - 「いいオタク」と「悪いオタク」

もしも、御堂筋が実はオタクだったと仮定してみると、あの不遜な態度や相手の神経を苛立たせる挑発的な台詞も何となく合点がいきます。
 
自信過剰、他人を見下した発言、場の空気を読まないパフォーマンス…。御堂筋翔は、オタクの間でも嫌われる「悪いオタク」の典型として描かれているのではないかと思うのです。
 
こう考えると、主人公である坂道の愛すべきオタクっぷり、「いいオタク」としての描き方に強烈な対比が生まれてきます*1
 
もしかしたら、今後の物語の進展にこの対比が重要な役割を果たすのではないかな、なんて私は最近想像をして楽しんでいます。で、今後、御堂筋翔というキャラクターに感情移入したり、共感したりする部分があるとすれば、この部分。御堂筋のオタクとしての部分なんじゃないのかな、なんて。
 
…本当に勝手な思い込みによる、勝手な想像なんですけど…。
 
 

■まとめみたいなもの

まぁ、今回は自分の思い込みのみで好き勝手に書かせていただきましたが、きっと御堂筋の相手として描かれるのは、過去に因縁のある今泉でしょうし、御堂筋のキャラクターも「オタク」である渡辺航先生のセンスによる部分が大きいのかなと思います。
 
確かに御堂筋の言動はどこか異常です。人間の常識や良心とはズレた描かれ方をされているように見えます。
ただ、その描かれ方というのは、どこか戯画的で漫画チック、何となくコミカルですらあります。
漫画の中の敵役、ヒールの立場である極悪人を描くときに、こういうキャラクター造型になったというのは、やっぱり作者である渡辺航先生のセンスなのかなと。
 
まぁ、とにかく「坂道ペダル」。ますます熱いです! 本当に、毎週目が離せないですよ。
 
 <余談>
ちょっと話はズレますが、私は漫画以外にもプロレスの大ファンで、生まれてこの方、色々な団体や選手を見てきました。プロレスにおけるヒール像っていうのは結構単純なんですよね、髪を染めてたり、スゴク身体の大きい外国人選手だったり、黒色を基調としたコスチュームに身を包んでいたり、派手なメイクをしていたりしたら、ソイツは即ヒールっていう。視覚的にもエモーションとしても非常に分かりやすい。
 
で、漫画の場合だと、プロレスなんかで見られる、そういう分かりやすくてマッチョなヒール像とは一線を画する御堂筋のようなおもしろいキャラクターが出てくるですよね。
御堂筋なんてガリガリで挙動不審、ヤンキーみたいな分かりやすい「悪」のイメージとはかけ離れているのに、読み手には外道な性格であるとか、ヒールとしての役どころがキチンと伝わってくるという…。やっぱり、漫画っておもしろいなぁ。

*1:もっとも、坂道は最近では純粋なスポーツマンとして描かれることが多くなってきていますが…。