2011年、個人的に最もオススメの新人エロ漫画家さん! - 白羽まと先生のエロ漫画を考える

tunderealrovski2011-03-25

 

 
今回のエントリでは、自分のオススメのエロ漫画家さんについてアレやコレやと書いてみたいと思います!
 
その「オススメのエロ漫画家さん」とは、白羽まと先生! 一昨年デビューをされたばかりで、未だ単行本も出ていない作家さんなんですが、この方の描くエロ漫画というのが、もう本当におもしろくて、ことごとく自分のツボを突いてくるのですよ!
 
本来であれば、作家さんについてファンがアレコレ言うのは、単行本が出て、ある程度の作家性なりセールスなりというのが確立された後で…というのが本筋なのでしょうが、もう、自分はこの方のエロ漫画が本当に大好きなので、先走り汁(カウパー氏線液)を全開にダダ漏れさせながら、白羽まと先生のエロ漫画についての感想文を書いてみますとも!
 
 

白羽まと作品のポップで不思議なエロス世界

白羽まと先生は、元々はコアマガジンでデビューを果たした作家さん。
最近では、コアマガジンから二次元ドリームマガジン」「コミック アンリアル」を出版しているキルタイムコミュニケーションへと活動の場を移されようで、ここでも非常に個性的なエロ漫画を発表されています。
 
そんな白羽まと先生のキルタイム初登場となったのが、アンソロジーふたなりっ娘ファンタジア2」(←このタイトルも、如何にもキルタイムらしい凄まじいセンス!)に掲載をされた「宇宙戦艦ゼノモーフ」というエロ漫画作品。
 

<キルタイムコミュニケーション刊「ふたなりっ娘ファンタジア2」 P.73>
 
宇宙空間を漂う戦艦の中で、何故かフタナリの艦長と美少女型アンドロイドがエッチを繰り広げる、という成年漫画テイスト溢れるエロスとSFがクロスオーヴァーした、実にキルタイムらしいエロ漫画なのですが、これがまたエッチくておもしろいのですよ。…あ、ちなみに何故「主人公の美人艦長さんがフタナリなのか?」という部分、"Why"に関する答えは劇中で一切言及されてないです。潔い!
 
「宇宙戦艦ゼノモーフ」は、フタナリものとして大変にエロくて良いエロ漫画なんですが、おもしろいのが、タイトルが「ゼノモーフ」で、ヒロインの名前がリプリー「アッシュ」なところ。
  


 
そう、元ネタはリドリー・スコット監督による傑作SFホラー…そして、その後も新進気鋭の若手監督が、その個性と作家性をシリーズ毎に打ち出しながら続編を作り続けることになる"世界で最も贅沢なプログラム・ピクチャー"「エイリアン」ですね(「ゼノモーフ」は、シリーズに登場するHRギーガーのデザインによるモンスターの通称。「リプリー」と「アッシュ」は、劇中の登場人物の名前)。
 

<元ネタの「エイリアン」より。ゴツ過ぎるリプリーと劇中で色々あって生首になっちゃうアッシュさん>
 
フタナリ」というエロ漫画的なギミックを用いつつ、こういう映画、SFファンなら思わず口元が緩んでしまう愛に溢れた小ネタを挿んでくる辺りが、この"白羽まと"という漫画家さんの油断ならないトコロ。…元ネタだと、リプリーとアッシュのビジュアルと人間(?)関係って、とてもなじゃないけど、こういう美少女漫画の世界には似つかわしくないセンテンスですからね…リプリー役のシガニー・ウィーバー、カッコいいけど、ゴツ過ぎです。
  
エロの中にも、こうしたユニークなアイデアを盛り込んでくる白羽まと先生の漫画作品ですが、商業誌における活動、プロのエロ漫画家さんとしてのスタートラインは、コアマガジンの新人賞「コミメガ大賞」に入選を果たしたことから始まります。
 

<コアマガジン刊「コミックメガストアH」 2009年11月号 P.443>
 
コミメガ大賞」の入選作であり、商業デビュー作となったのが、コミックメガストアH」の2009年11月号に掲載をされた「Term of growthという作品。幼馴染のカップルの恋の発展と心身の繋がりを描いたこの漫画は、甘酸っぱく、スタンダードなラブストーリーといった趣の作品であり、明るく、エッチな成年漫画を多数掲載しているコアマガジン社の誌面に非常にマッチをしていました。
ただ、この時点では未だ、その個性的な作風は抑え目で、自分も「可愛らしい絵を描く新人さんが現れたな〜」くらいしか認識をしていませんでした。
 
…ところが、白羽まと先生、本格的な商業デビュー漫画となる次作で、トビっきりのインパクトを残すことになります…。
 
 

■新人賞デビューから商業作家の道へ。花開くビザールな世界観


<コアマガジン刊「コミックメガストア」 2009年12月号 P.453>
 
それが、「コミックメガストア」2009年12月号に掲載をされた「パンツなんか怖くない!」。…もう、タイトルからしてぶっ飛んでいますが、中身も負けず劣らずのぶっ飛び具合です。
 

<コアマガジン刊「コミックメガストア」 2009年12月号 P.456>
 
そのストーリーは、下着泥棒が女性用下着に変態行為を行っている場面を目撃したヒロインが、そのトラウマからパンツを履けない体質になってしまい、その忌まわしい過去の記憶をエッチによって克服し、そして再びパンツを履けるようになるという、デヴィッド・リンチが逆立ちしたって思いつかないであろう超感動巨編!
 
…いや、言いたいことは分かる! 言いたいことは分かりますよ! 自分だって、一番最初に読んだ時は「何じゃ、そりゃ〜!」って思ったさ!
 
でも、これが大変に印象に残る、いいエロ漫画なんですよ。
 


 
足コキのように、フェティッシュな描写を用いつつ、その独特なストーリー展開とキュートな絵柄が癖になる白羽ワールド。自分は、この「パンツなんか怖くない!」というエロ漫画が、完全にツボにハマってしまい、以降、白羽先生の漫画を追い掛けるようになりました。
 

<コアマガジン刊「コミックメガストア」 2010年2月号 P.272>
 
そんな快作(もしくは、怪作)に続いて発表されたのが、美人教師と水恐怖症の教え子の姿を描いた「びゅーてぃふる! ふろーと」。前作に比べると、ストーリーのビザール加減は軽減しており、シンプルに明るく、ハッピーなエロ漫画といった趣に仕上がっているのですが、おもしろいのがセックスによるトラウマ克服を描いた「パンツなんか怖くない!」と同じく、エッチを通じて「泳げない」恐怖が漫画の中で描かれていることです。
 
この辺で、この漫画家さんが漫画の中で描こうとしているもの、作家性といったものが見え始めてくるんですが、ここから白羽まと先生のエロ漫画は、更にその個性を強め始めます。
 
 

■更に際立つ、その個性! 「お金仕掛けの主従関係」


<コアマガジン刊「コミックメガストア」 2010年4号 P.265>
 
そして「コミックメガストア」に掲載をされたのが、自分の今の所一番のお気に入り作品であり、この漫画家さんの作風を最も強く感じる「お金仕掛けの主従関係」という漫画。
この漫画…我儘で拝金主義のお嬢様と、お金にとんと興味のない無欲な従者のエッチな体験を描いた漫画なんですが…そのエッチに至る過程の中で、脳にUSBケーブルを接続することで、あらゆる知と情報を得ることができる「アポステリオリ・ケーブル」なるアイテムが登場するんですよ!
 


 
デビューからの三作品では、学校や学生をモチーフにしたラブコメを描いてきたのに、ここでいきなりSF要素が顔を出して、作風がSFラブコメに転化するおもしろさ!
ストーリーは、この不思議なSFガジェットのおかげで、なし崩し的にお嬢様が従者とエッチなことをし始め…という展開なのですが、「記憶」や「脳」をエッチ漫画に持ち込む、そのアイデアに自分は非常に惹かれ、ますますこの漫画家さんの作品にのめり込んでいくことになりました。
 


 
あと、やっぱりこの方の描く女の娘っていうのが凄い可愛いんですよね。「お金仕掛けの主従関係」は、SFアイテムに翻弄されるお嬢様の姿が、本当に可愛らしいエロ漫画。キュートな女性キャラとビザールなストーリー、そして、「トラウマ」や「脳」や「記憶」といったモチーフを作品の主軸に置いた、「コミックメガストア」デビュー以降の三作品。
 

<コアマガジン刊「コミックメガストア」 2010年7号 P.342>
 
その後に発表をしたのが、それまでの明るく楽しいコメディ感覚でのエッチ路線から一転して、過激な凌辱モノとなった「フラッグブレイカー」。本命の男性以外は、その他大勢のキャラ(=モブキャラ)として拒絶をしてしまう「トラジディ・ヒロイン・シック」なる病気を患った少女の姿を描いたこの漫画は、もしも、美少女ゲームエロゲーの世界を現実に置き換えてみたら? というifをエロ漫画のストーリーに持ち込んだ、これまたSF的、ファンタジー的な作品でした。
 


 
時にポップで、そして時にハードなエロスと同時に、奔放なアイデアをエロ漫画の中に持ち込み、SF、ファンタジーとして作品に昇華をした「お金仕掛けの主従関係」と「フラッグブレイカー」。デビュー以降、常に漫画の中に漂っていた不思議な雰囲気と個性的な作風が、特に色濃く出た、この二作品。恐らく、白羽まと先生がエロ漫画を通して、やりたかったこと、描きたかったことというのは、この辺りに集約をされている気がします。
 

<コアマガジン刊「コミックメガストア」 2010年9号 P.154>
 
その後、白羽先生は、再び日常ラブコメ路線に戻り、家庭教師と教え子の恋の行方を描いた「WRITHE+NOTE」を発表。そして、現在では前述の通り、キルタイムコミュニケーションへと活動の場を移し、ファンタジー、SFを軸にしたエロ漫画を再び描かれています。
 

<キルタイムコミュニケーション刊「コミックアンリアル」 2011年4号 P.444>
 
現在の最新作は、現在発売中の「コミックアンリアル」最新号に掲載をされている「遠き田舎の理想郷」という作品。フタナリで熊の獣人の美少女とお嬢様をヒロインに、夏の田舎の突き抜けるような青空の下、ポップな痴態が繰り広げられるファンタジックな短編ですが、前述の「宇宙戦艦ゼノモーフ」といい、こういう不可思議な世界で奔放なイマジネーションが花開いているのを見ると、この漫画家さんの活動はキルタイムでのこうしたSF、ファンタジー的なエロ漫画に非常に合っているのかなぁ、という印象を受けます。
 
とにかく、個人的にこの漫画家さんの作品をこれからも追い掛けていきたいところ。 いや〜…私、この方のエロ漫画、大好きですね〜。
 
 

■まとめ

新人賞入賞作品も含めて、白羽まと先生が商業で発表された漫画は、現在のところ8編。その全作品を振り返りつつ、ファン目線での感想文をアレやコレやと。
単行本もまだ出ておらず、冒頭に書いた通り、作家性や作品云々について何かしらの意見を書くのは時期尚早もいいところなのですが、もう、自分はこの方の漫画が好き過ぎて、思わずエントリを一本書いてしまいました。
 
ビザール感覚溢れるコメディやSFやファンタジー要素が入ったエロ漫画が好きな方、あるいは「トラウマ」や「記憶」といったストーリーを構成する要素がツボな方…には、間違いなくオススメできるエロ漫画家さんだと思います。
これからの活動も含めて、この先が楽しみなエロ漫画家さん。早く、単行本が出てくれると嬉しですね。ファンとしては。
 
 
 
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