パロディアニメの極北としての傑作「マジカルハートこころちゃん」

 

 
School Daysのスピンオフ作品として制作をされたOVA作品「マジカルハートこころちゃん」
 
先日、数年ぶりに観返したところ、コレが大変におもしろかったので、ちょっとこのアニメ作品についてアレやコレやと書いてみたいと思います! いや、やっぱり凄いよ、コレ!?
 
 

■「マジカルハートこころちゃん」のパロディ描写

「マジカルハートこころちゃん」は、そのタイトル通り、魔法少女アニメのパロディ作品となっております…いや、やっぱりなってないのかな? 本編の「School Days」に登場するキャラクターが総出演をしての魔法少女ものではあるんですが、何故かオープニングが円谷特撮のオマージュになっていたりだとか、女の娘が戦隊モノのコスチュームを着て出て来たりだとか、物語の基本軸は特撮作品ものなんですよ。魔法少女ものの皮を被った特撮もの。
 

 
美少女ゲームをアニメ化した作品のスピンオフ作品が魔法少女パロディと見せかけて特撮パロディアニメ」。構造がトリッキー過ぎて、もう何が何だか分からないですからね。
 
魔法少女もののパロディとしての描写って、当時の告知映像にもフィーチャーをされている変身シーンくらいで、後は延々エロとナンセンスギャグと特撮パロが飛び交う怪作です。それからゾンビも出てきます。もう、魔法全然関係ないやん! ついでに言うと、この告知映像、後半のシーンとか本編に全く出てこないですし、無関係のアニメーションですからね。メタってんな〜っていう。
 
<特報!マジカルハートこころちゃん>

 
 

■徹底的なパロディ精神によるエクストリーム感!

更に、凄いのがこの「マジカルハートこころちゃん」。"魔法少女モノと思わせておいて、実は、特撮"というフックに加えて、その特撮作品の構造すらも完全にパロディにしてみせるところだと思うんです。
 

 
完全にネタバレで申し訳ないんですが、このアニメ、戦隊モノの戦闘シーンにおけるハイライトをまんま踏襲していて、最後は巨大化した怪獣(というか、人)と巨大ロボット(?)が戦うんです。そして、巨大ロボが怪獣をチェーンソー(…しかし、ヤバい映画とかアニメにはことごとく出てきますね、チェーンソー)で真っ二つにして惨殺。結果、街中が文字通り血の海になってハッピーエンドという結末を迎えます。…いや、それ全然ハッピーじゃないし!
 
何が凄いって、もう「巨大怪獣の大量の血によって街が沈む」っていうこの描写ですよね。コレって、特撮作品に対する凄い意地悪な目線というか、まんま「空想科学読本」の世界なわけじゃないですか。「巨大ヒーローもので、ヒーローが倒した怪獣の死体の処理ってどうしてるんだろう?」とか「怪獣の血や肉で、周辺は汚染されたりするんじゃないだろうか?」とか、空想科学の世界に理知的な科学の目線を持ち込んでツッコミを入れる目線。
 
「マジカルハートこころちゃん」は、魔法少女ものに見せかけた特撮もののアニメなんですけど、その特撮作品のお約束ごとすらも情け容赦なくパロディにしてしまうというこのエクストリーム感、ブルータルさ。パロディとかアンチテーゼの精神が、二重三重にもなっている。
 
この突き抜け感っていうのは、ちょっと一回観ておいて損はないんじゃないかと思います! 「School Days」本編が、ああいう結末を迎えた上で作ってるのがコレですからね。好きだな〜「こころちゃん」。
 
…あ、あと、大事なことを書くのを忘れていました。何故か、このアニメ、ナレーションが堀内賢雄さんで、あの良い声でのナレーションが更に、物語のバカバカしさを盛り上げてくれます。賢雄さんの方も是非!