怪獣! 怪獣! 大怪獣!! 「Dororonえん魔くん メ〜ラめら」の怪獣ネタまとめ
春アニメの「Dororonえん魔くん メ〜ラめら」が色々な意味でおもしろ過ぎて目が離せません!
そもそもは、自分がファンである鈴木慶一率いるムーンライダーズが音楽を担当しているということで、劇中音楽を目当てに観始めたんですが…いや、音楽が素晴らしいのは勿論ですが、ハイテンションなギャグや劇中で連発される昭和ネタ、パロディの数々がイチイチ自分のツボを突いてくるんですよ。
中でも、特にツボだったのが第二話の「右も左も妖怪だらけじゃ〜ござんせんか」に出てきた怪獣ネタ、特撮ネタの数々。今回のエントリでは、その妙〜にこだわりのあるパロネタの数々をちょっとまとめて、アレやコレやと書いてみたいと思います。
■"怪獣殿下"Dororonえん魔くん メ〜ラめら」の怪獣ネタ
「Dororonえん魔くん メ〜ラめら」第二話「右も左も妖怪だらけじゃ〜ござんせんか」なんですが…まず、上記の画像の通りタイトルコールのオープニングからしてウルトラマンネタ満載ですからね。オープニングで主役のえん魔くんがとっているのは、ウルトラマンの必殺技スペシウム光線のポーズ、雪子姫が手をチョキにしているのは「ウルトラマン」に登場する"宇宙忍者"バルタン星人のオマージュ。
更に、カパエルの手を前に突き出したポーズ&風船というのは、「ウルトラマン」第八話「怪獣無法地帯」に出てくる"友好珍獣"ピグモンのパロディです。
ウルトラマンを始めとする怪獣ファンとしては、もうコレだけで嬉しくなってしまう怪獣愛に満ちたパロディ、オマージュの数々ですが、よく見てみると背景が科学特捜隊の基地だったり、シャッポ爺の体が化学特捜隊が誇る最新鋭の戦闘機ジェットビートルになっていたりと、とにかく芸が細かい!
また、中盤の雪子姫の入浴シーンでも、多数の怪獣ネタが散りばめられていて…。
雪子姫が入っている氷のお風呂。お城の後ろには、ウルトラマンの第30話「まぼろしの雪山」に登場した"伝説怪獣"ウーと、特撮怪獣映画「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」に出てくる"冷凍怪獣"バルゴンがレイアウトされていて、とにかくクリエイターさんの昭和怪獣愛がタップリ! しかも、バルゴンはちゃんと元の映画通り、虹色の冷凍光線を描くこだわりようです。
そして、口から氷水を吐いている雪像は、「帰ってきたウルトラマン」の"雪男星人"バルダック星人!
ウルトラマンシリーズの原点であり、ファンの間でも人気の高い「ウルトラマン」(本当の原点は、その前の「ウルトラQ」なんですが…)だけじゃなく、ガメラや「帰ってきたウルトラマン」辺りからネタを持ってくる選球眼も最高です。
バルダック星人といえば、地球を氷漬けにしようとした超凶悪な宇宙人ですからね! 口から吐く冷凍光線で、街も車もMAT隊員も凍らせた超悪いヤツ!
■"怪獣無法地帯"更に暴走する怪獣愛!
このシーンでは、雪子姫が雪女のキャラクターであることに倣って、冷凍系の怪獣や宇宙人でネタがまとめられているんですが…。中でも、特に渋い輝きを放っていたのが、雪子姫の入浴中に画面を横切る黒い影!コレは、「ウルトラセブン」第25話「零下140度の対決」に出てくる"ミニ宇宙人"ポール星人ですね。
ポール星人は、地球を氷点下の世界にしようと侵略行為を開始し、太陽の力を借りて戦うウルトラセブンを大苦戦させた宇宙人なんですけど…コレ、何が凄いって、この「零下140度の対決」というエピソードに出てくるメインの怪獣は、ポール星人が操るガンダーっていう怪獣なんですよ。
あくまで、このエピソードの主役で、ウルトラセブンと戦うのはガンダー。ポール星人は、本当にちょっとのちょっとしか出てこない宇宙人なんです。しかも、ウルトラセブンとは交戦することはなく、ただ喋るだけ! 何で、そこはガンダーじゃないんだ! っていう話なんですけど、この辺は本当にセンスとこだわりが成せる業ですよね。そこで、ポール星人かよ! っていう。
また、えん魔くんたちが人間界にやってくるシーンでも怪獣ネタが散りばめられています。車の大渋滞をバックに、佇むシルエットはバルダック星人と同じく「帰ってきたウルトラマン」に出てきた"信号怪獣"ビーコンかな、と思ったんですが…微妙に体型が違うような…。車と怪獣というと、ウルトラマンファンとしてはビーコンの他にも、「ウルトラセブン」のクレイジーゴンが思い返されますが、コッチは明らかにシルエットの形状が異なりますし…。
で、気になって検索をしたのですが、こんな情報が!
■『Dororonえん魔くんメ〜ラめら』2話感想 自重しない雪子姫のエロ!これこそ永井豪漫画のアニメだ
これによると、件の怪獣は「ウルトラマン」シリーズではなく、ピープロの特撮ヒーロー「スペクトルマン」(宇宙猿人ゴリ)に出てくる「クルマニクラス」という怪獣ではないかとのこと。イメージ検索をしてみれば確かにそれっぽい! それにしたって、ネタを円谷プロの特撮作品ではなく、ピープロの…しかも「スペクトルマン」から持ってくるなんて渋過ぎです!
「ウルトラマンエース」や「タロウ」じゃ、まだモダン過ぎる! と言わんばかりのこのスタッフさんによる昭和特撮魂!
そして、同じく人間界の公害で汚れた海とゴミの山の中から顔を出している怪獣は、特撮映画「ゴジラ対ヘドラ」の"公害怪獣"ヘドラ!
シャッポ爺の「水銀、コバルト、カドミウム…」という台詞も、「ゴジラ対ヘドラ」のテーマ曲である「かえせ! 太陽を」の歌詞からの引用ですね。
<ゴジラ対ヘドラ / かえせ! 太陽を>
数々の昭和ネタが劇中をかしましく彩る「Dororonえん魔くん メ〜ラめら」ではありますが、とりわけ昭和の特撮&怪獣パロディ、オマージュが際立った輝きを放っていた第二話。怪獣ファンとして、思わずネタをまとめさせていただきました!
■まとめ
CG全盛で、怪獣映画も新作が全く作られなくなった昨今、こういう特撮や怪獣ネタを散りばめたアニメ作品が出てきて、怪獣ファンの自分は思わず嬉しくなってしまい、こんなエントリを書いてしまいました。このテのパロディをふんだんに盛り込んでいた「ケロロ軍曹」も終わってしまいましたし、ちょっと元気のない怪獣業界ではあるんですが…できれば「えん魔くん」みたいにこういう怪獣愛に満ちたパロディやオマージュを使った作品が今後も出てきてくれるといいですよね。
<追記>
コメント欄でのご指摘をいただいての追記です! 劇中で、えん魔くんが鬼と戦っていた鬼が島の背景の岩が、「ウルトラQ」に出てきた"岩石怪獣"ゴルゴスになっていました。コレは、気付きませんでした…。ホンッと芸が細かい!