本当はカッコ良いのに、「ジョジョの奇妙な冒険」でショボいスタンドになったバンド、楽曲ワースト3

 

 
今回のエントリはタイトルの通り、人気漫画ジョジョの奇妙な冒険でショボいスタンドになってしまったバンド、楽曲について。
 
作者の荒木飛呂彦先生は、大の音楽好きで、ロック、ポップス、パンク、HR/HM、R&B、ヒップホップ、テクノ…と多岐に渡る音楽嗜好から各スタンドにその名前を拝借しているのは周知の事実ですが、中には元ネタはカッコ良いのに、スタンドはショボい…という憂き目にあってしまったバンドや曲もいくつかあります。そこで、自分が思う、元ネタの音楽のカッコ良さと漫画の中でのカッコ良さが物の見事に反比例をしてしまったスタンド、そのワースト3を挙げてみたいと思います。
 
あくまで、主観の中での話ではあるんですが、評価のポイントとしては「元ネタとなったバンド、楽曲のカッコ良さとスタンドの能力や見た目のギャップ」という観点で選んでみました! そんなこんなで、今回のエントリでは「ジョジョの奇妙な冒険」と音楽についてアレやコレやと!
 
 

■第3位、トーキング・ヘッド(Talking Heads


 
先ず、第3位はコレ! パンク出身でありながらアフロリズムを大胆に取り入れ、"白人によるファンク・ミュージック"というロック・ミュージックの新機軸を生み出した偉大なバンド、鬼才デヴィッド・バーン率いるニューヨークのパンク/ニューウェーヴの大御所、Talking Headsがその名前の由来。
 
その斬新な音楽性のみならず、後に羊たちの沈黙で世界的な成功を収めることになる映画監督、ジョナサン・デミによるライブ・ドキュメンタリー映画の金字塔「ストップ・メイキング・センス」を発表するなど、映像の世界にも多大な影響を与えたTalking Heads…しかし、いざ「ジョジョの奇妙な冒険」の中に登場をしてみたら、「相手の舌に寄生をして嘘を吐かせ続ける」というハイパーヘンテコなスタンドに…。
 
ジョジョの奇妙な冒険」の第5部「黄金の風」の中でも特にトリッキーかつコミカルなエピソードに登場をした敵役、ティッツァーノのスタンド、トーキング・ヘッド。相方であるスクアーロの「水から水へと瞬間移動するサメ型のスタンド」という能力、ビジュアル共にクールな印象のクラッシュに比べると、そのシュールな造型と使いどころを選び過ぎる&ローパワーかつミクロな特殊能力が、読者に多大なインパクトを与えたのでした…。
 
流石にこれだけでは元ネタになったTalking Headsにアンマリだと思ったのか定かではありませんが、第6部「ストーンオーシャン」では、このバンドの最大のヒット曲を冠したスタンド、バーニング・ダウン・ザ・ハウスが登場。「部屋や家具、絵画の幽霊を呼び出して別次元を作る」という、まさに荒木飛呂彦イズム溢れる…美しさと複雑怪奇さがミクスチャーされたかのような能力を持つスタンドで、こちらはなかなかにカッコ良かったですよね。
 


 
 

■第2位、ハイウェイ・トゥ・ヘル(AC/DC"Highway To Hell")


 
続く、第2位はこのハイウェイ・トゥ・ヘル! 複雑な設定の能力を持つスタンドが多数登場をする第6部の中でも、「相手を自分が自殺した方法で殺す」どーしょーもない能力で劇中でも異彩を放ったスタンド。「周囲を苛つかせ、喧嘩をさせる」サバイバーと同レベルで、どうにもこうにもカッコ悪いスタンドでしたが、元ネタとなった楽曲とのギャップという点ではこっちの方がよりレベルが上か? スタンド本体のサンダー・マックイイーンの救いようのないダメ人間具合(パンティーを貰えそうになって大喜び!)も相まって、何ともトホホなスタンドに仕上がっていました…。
 
そんなハイウェイ・トゥ・ヘルの名前は、オーストラリアのHR/HMバンド、AC/DCが79年に発表をしたアルバム&タイトルトラックである"Highway to Hell"(邦題「地獄のハイウェイ」)から。元曲は、メチャクチャにカッコのよろしいハードロックの永遠のスタンダードナンバー。また、このアルバムはAC/DCの初代ヴォーカリストであるボン・スコットの遺作でもあり、バンド、ファンにとっても特別な一枚でもあります。このアルバムをリリースした翌年、スコットは泥酔をしての就寝中に吐瀉物を喉に詰めて死亡。バンドは2代目ヴォーカリストとしてライアン・ジョンソンを起用し、全世界で5,000万枚以上を売り上げるモンスターアルバム"Back In Black"を発表。今も現役でバンドを続け、世界中をツアーで回っています。
 
そんなAC/DCにとっての超重要作、バンドの分岐点となったアルバムがスタンドになったらコレか…と、AC/DCのヒストリーを頭に思い浮かべながら「ジョジョ」を読んでみれば、ハイウェイ・トゥ・ヘルのダウナー過ぎる能力がもたらすグルーヴも増大。…バンド名をもじったキャラクターであるエシディシは、中ボスクラスのキャラクターとして申し分のない魅力と色気を秘めていたんですが…。
 


 
 

■第1位、チープ・トリック(Cheap Trick)


 
そして、自分の中での元ネタはカッコ良いのに、「ジョジョの奇妙な冒険」でショボいスタンドになったバンド、楽曲ワースト3、栄えある(?)第1位は、やっぱりコイツ! …チープ・トリック!!
 
スタンド名の元になったのは、アメリカのハードロック・バンド、Cheap Trick! 激しくもポップなメロディーをクリエイトするファニーな天才ギタリスト、リック・ニールセン。そして、その王子様のような端正なルックスとは裏腹に、甘く切ないバラードからハードなロックナンバーまで歌い上げる実力派"元祖イケメン・ヴォーカリスト"、ロビン・ザンダー。これまた、ロビンと同じく男前のベーシスト、トム・ピーターソン。そして、丸眼鏡と髭がトレードマークのドラマー、バン・E・カルロス…。音楽の才もビジュアルもキャラクターもエッジが効きまくった四人で結成され、数々のポップ・ナンバーを生み出したCheap Trick!
 
アメリカのバンドでありながら、日本で人気が先行し武道館ライヴを成功させ、その模様をライヴ盤としてリリースしたら、アメリカでも大ヒット! 不遇の時代がありつつもそれを乗り越えて、ほぼオリジナル・メンバーで何十年にも渡ってバンド活動を行い、コンスタントにアルバムをリリースし続け、"パワーポップ"の元祖としてリスペクトされる。まさにロック、ポップ・ミュージック界の不屈の巨人であるCheap Trick!
 
…が、「ジョジョの奇妙な冒険」では「背中に寄生して(あ、コイツも寄生型のスタンドだ…)、背中を見た人間に取り憑いては養分を吸う」という超ショボいスタンドとして登場。意思を持ち、自律的に喋ったり思考することができるという珍しいスタンドだったものの、その残忍で陰険な性格はポップなCheap Trickの音楽性とはえらい違い。…何故、こんなヤツの名前がチープ・トリックだったのか!? ボン・ジョビとかじゃダメだったのか!? 気になるぞ、チープ・トリック!!
 


 
 

■まとめ

そんなこんなで、自分が思う「ジョジョの奇妙な冒険」で元ネタとのギャップが激しすぎるスタンド、ワースト3。元ネタのバンドや曲は、どれも最高にカッコ良いんだけどなぁ…。
 
この辺に比べると、荒木先生が度々、リスペクトを公言されているプリンスピンク・フロイドは主役のスタンドに抜擢をされたりとか、待遇が良い気がしますよね。