「HEROMAN」の中で描かれる、主人公ジョーイのヒーローとしての自覚と決意について

 

 
現在、自分がドッパマリをしているテレビアニメ「HEROMAN」
もう、見るたびに泣くわ、胸が高鳴るわでエモーションを振り回されっぱなし。大変なことになっているのですが、とりあえず、現在までに放映をされた第03話までの感想文を熱っぽく書いてみたいと思います!
 
 

■第3話「インヴェイジョン」でのジョーイの目の動き

主人公ジョーイのヒーローマンとの出会いを描いた第01話から、第03話の「インヴェイジョン」までの間で、大きなテーマとして描かれていたのがジョーイのヒーローとしての自覚だと思います。
 
宇宙人が地球に対して本格的な攻撃を開始し、サブタイトル通りの「invasion(侵略)」が行われた第03話。その中で、ジョーイの心の移り変わりを表現するのに、非常に印象的に使われていたのが目の描き方です。
 

 
宇宙人の圧倒的な攻撃力と、崩壊していく日常に戸惑い、
 

 
あるいは、脅威に対して伏目がちに、怯えるジョーイの目がドラマの前半では繰り返して描かれています。
これが、自分の大切な人を守るために闘うことを決意した後半のジョーイの目との間で、非常に印象的な対比が行われることになります。
 

 
ヒーローマンと共に、愛する者を傷付けようとする侵略者に対峙するジョーイ。力を持つ者としての使命と自覚を携えて力強い視線へと変わるジョーイの目と、それに応えるヒーローマンの視線の交差、アイコンタクト。
二人の絆が描かれるこの場面でも、「目」が非常に効果的に画面の中で描かれていて、何と言うか本当に上手いなぁ、と。
 
もう、その両者の目が持つ強烈なエモーションに、こちらの視線は刺激されまくりの涙腺崩壊しまくりですよ。
 
 

■劇中で描かれる、主人公ジョーイの心の移り変わり

かなりテンポ良くストーリーが展開をしていく「HEROMAN」ではありますが、上記のような演出や台詞の力によって、ジョーイの主人公(ヒーロー)としての自覚や決意は、キチンと段階を踏んで丁寧に描かれている印象を受けます。
 
思えば、第01話でヒーローマンと出会ったばかりのジョーイ。このエピソードの中で、クライマックスとしてドラマの中に用いられていたのは、ヒーローマンの誕生、そして事故で車の中に閉じ込められたヒロインの救出劇でしたが、そこでのジョーイの台詞。
 

「リナが…リナが…お願い! 助けてあげて!!

 
親友のリナを助けるために、ヒーローマンに懇願をするジョーイ。まだ、この時点では、ヒーローマンだけが「HERO」なんですよね。ジョーイにとっては、一方的に頼れる存在。
また、このエピソードのラストも、リナの命を救ってくれたヒーローマンに対して、
 

君は…やっぱり、僕のヒーローだ

 
というジョーイの無邪気なモノローグで締められていて、コチラも何とも印象的。
 

 
それが第03話でのクライマックスで、宇宙人と戦うヒーローマンを守ろうと、敵の攻撃の前に立つジョーイという「成長」が描かれます。そして、「ヒーローマンを守ろうとしたジョーイを守るヒーローマン」という二人の間での思いやりの反復を行うことで強調される絆とヒーローマンの力強さ。
 
で、その後に前述の二人の視線の交差が描かれるわけで…。
第01話での無邪気さを思えば、「ヒーロー」として否応なしに侵略者との戦いに巻き込まれるジョーイの姿は何とも切なくもあるのですが、それでも愛する人々を守るために己の使命を自覚し、ヒーローマンとの絆を強めていく姿は感動的で、それはやはりジョーイの「成長」と言えるものだと思うのです。
 
 

■不思議なヒーロー「HEROMAN」

最後に、自分のかなり勝手な解釈による印象論で申し訳ないのですが、このアニメのもう一人の主人公である不思議なヒーロー「ヒーローマン」に関して少し。
 
劇中での描かれ方を見ていると、宇宙人の光線を避けたり、ジョーイを助けようとしたりと、ある程度自律的に動くことも可能なのでしょうが、驚異的なパワーを発揮したり必殺技を出す際には、ジョーイに最終的な決定権があるように見えます。
 
考えてみれば「ヒーローマン」という実にビザールな響きの名前を持つ、この巨人の存在は不思議なものがあります。
ロボットであるにも関わらず、「ジャイアントロボ」や「ゲッターロボ」のようなメカニックな響きの名前ではなく、「鉄人28号」や「コンバトラーV」のようにシリアルナンバーや記号で語尾を終わらせるでもなく、「HERO+MAN」という有機的なニュアンスのある二つの単語を組み合わせた不思議な造語*1をその名に冠したヒーロー。
 
名前からも、そのアクションからも、イメージとしては人間とロボットの絶妙な中間地点に存在をしている新しいヒーロー像。そういった印象を受けます。
 

 
また、このヒーローマンを起動させ、指示を出すためのインターフェースがおもしろいんですよね。
元々は玩具のコントローラーだったものが変形してジョーイの腕に装着され、ジョーイは、このスイッチを押すことで、壊れたロボットの玩具をヒーローマンへと変形をさせ、共に脅威に対して戦うことができる。
一般的なロボットアニメに登場をするような操縦桿やコントローラーとは明らかに違い、肘の辺りから指先までをスッポリ覆う奇妙な形状をしたコントロール・システム。
 
これが何に似ているかといったら、自分なんかは骨折した腕を固定するギプスに似ているように思います。文字通りに、ジョーイの片腕になってくれるのがヒーローマンというイメージ。
やっぱり、二人で一人の「HERO」になる存在だと思うんですよ、ジョーイとヒーローマンって。
 
第03話で描かれたジョーイのヒーローとしての自覚は、第02話の「エンカウンター」で、爆風で吹き飛ばされたリナを身を挺して助けにいくシーンで、その萌芽が見られたわけですが、ここでリナが彼らに言った台詞
 

「貴方たちがヒーローよ」

 
という一言が、こうしたイメージで持って作品に接して見ると強烈なエモーションを伴って、観る者に心に届いてきますよね。
 
 

■まとめ

まだ、始まったばかり(でも、作品の魅力とおもしろさは、この時点でバリバリ伝わってきております!)なので何とも言えないのですが、個人的にはやはりジョーイとヒーローマン、この二人の絆とジョーイの成長が物語の中心軸になっていくのかな、という印象を受けます。
何にせよ、これからの展開が本当に楽しみなアニメです!
 
 

■おまけ


 
第03話で、怯え・戸惑いの表情から、決意に満ちた力強い表情への変化を描きドラマを作った後で、エピソードに締めに持ってきたのがこの笑顔。顔で感情を魅せるのが本当に上手いアニメですよね。
 
 
 
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*1:この名前には関しては、単純に原作者であるスタン・リーの「ロボット」に対するアメリカ流のスタンスによるネーミングなのかもしれませんが。