「ジュエルペット ハッピネス」=「真・女神転生」論

 

 
今回のエントリでは、ジュエルペット ハッピネスについてアレやコレやと書いてみたいと思います!
 
 

■話数単位で選ぶ「ジュエルペット ハッピネス

■「2013年TVアニメOP・ED10選」参加サイト一覧
 
私が毎年楽しみにしている「話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選」。その年に放送をされたアニメの中からエピソード単位でベストを選ぼうという企画です。作品としての10選は勿論、各作品毎のエピソードによってベストが選ばれる為、選者の趣味嗜好が、よりハッキリと浮かび上がる企画だと言えるでしょう。で、そんなところが抜群におもしろい!
 
さて、そんな中で私が注目をしてみたいのが「ジュエルペット ハッピネス」。今回の企画に参加をされていない方でも、本作のファンである皆さんならば、それぞれのベストエピソードがあることかと思います。
そこで、私がおもしろく感じるのが、そのチョイスの仕方なんです。これ、人によって、その好みの方向性が大きく分かれるんじゃないかと思うんですね。
 
具体的には、「カオティックなコメディーエピソード」が好きな人と「ハートフルな人情話」が好きな人という好みが分かれるんじゃないかな、と。
 
 

■「ジュエルペット ハッピネス」のエピソードの好み

本年度の「話数単位で選ぶTVアニメ10選」ですと、私も含めて幾人かのブロガーさんが「ジュエルペット ハッピネス」を10選の中の1本として挙げていらっしゃいます。で、そこでも好みのコントラストが出来ているように思うのです。
 
例えば、「ゲームばっかりやってきました」のすぱんくさんは第29話の「欲しがりすぎはダメなのね〜!」を本作のベストとしてチョイスをされています。この「欲しがりすぎはダメなのね〜!」は、コメディーとしての色合いが強く、主要人物の一人であるまりえちゃんを狂言回しにひたすらにナンセンスなギャグとカオティックな描写が続くエピソード。
 
「In Jazz」id:terry-riceさんが選ばれたのは、第43話の「ジュエル学園なくなっちゃう〜!」も、カオティックなエピソードです。良質な作画の下でフリーキーなキャラ描写やギャグがオンパレードで続く怪作。最後は一応、ジュエルペットと人間の触れ合いという作品の根幹に繋がるハッピーエンドで終わるものの、そこに至る迄が凄くフリーダムな話で。推薦のコメントを読んでみても、terry-riceさんとしては、このアニメの非常にファンキーでカオティックなギャグセンスに惹かれているところが大きいのかな、と。
 
 

■私は…凄く、のばら回が好きなんです!

■2013年テレビシリーズアニメ話数単位10選 - 無駄に「めしばな刑事タチバナ」調
 
一方で私が選んだ第15話「お手紙とどける〜!」は、のばらが物語のメインキャラクターとなる、彼女とジュエルペットの心の触れ合いを描いたエピソード。この話の何が好きって、のばらのあの優しいキャラクターが凄い好きで…ほら、のばらってとっても心根が優しい娘じゃないですか。あの、まえりちゃんの全てを全肯定(こと魔法の宝石集めに関しては、完全に周囲より出遅れて、ヤル気と自信が空回りし続ける"言うだけ番長"と化しているにも関わらず!)している感じとか、ジュエルペットに対しての接し方とか。
 
で、のばら回って彼女のそんな優しさがストレートに出たハートフルな話が多くてですね。そこが私は大変に好きで…「ジュエルペット ハッピネス」は、強烈だったりブラックだったりするギャグ回も勿論大好きではあるんですが、ああいう心温まるようなエピソードの方が好みなんですね。
 
だから、やっぱり敢えてベストを選ぶとするならば、自分はのばら回の第15話かな、と。で、おもしろいのが、ベストを選ぶ人によって、「カオティックなコメディーエピソード」と「ハートフルな人情話」に好みが分かれるところで…。
 
 

■「ジュエルペット ハッピネス」というアニメの特異性

何故、ここまで好みのエピソードの方向性がハッキリ分かれてしまうのか…それは、ジュエルペット ハッピネス」というアニメの特異性に依るところが大きいのではないかと思います。
 
というのが「ジュエルペット ハッピネス」って、物語のメインテーマは「人とジュエルペットの心の触れ合い」であり、ヒューマニズム溢れるストーリー性を有しているんですが、そこに、監督である桜井弘明監督のフリーキーなギャグセンスとこれまでのシリーズで培ってきたアナーキーなコメディー感覚が同居しているというかなり特殊な構造をしているんですね。
 
緩さとシュールさが融合した桜井監督のギャグとそして、前シリーズであるジュエルペット サンシャインジュエルペット きら☆デコッ!で確立をされたカオティックでブラックなコメディーが、ハートフルなメインテーマとミクスチャーされているという特異なバランスで成り立っているアニメ、それが「ジュエルペット ハッピネス」。
 
故に、観る側の好みもそこで大きく分かれるのかな、と。自分みたいに、のばら回のようなポップでキャッチーなエピソードが好みの人もいれば、もっと破天荒な…「サンシャイン」や「きら☆デコッ!」みたいにハッチャケたエピソードが好きな人もいると思うんです。
 
 

■「ジュエルペット ハッピネス」=「真・女神転生」論

で、ここまで考えた時にですね、「ジュエルペット ハッピネス」ってアレに凄く似ているなと思ったんですよ。アレ、アレ! テレビゲームの真・女神転生!!
 
真・女神転生」がどういうゲームかを知らない方の為に、そのシステムの特徴を物凄く簡単にかいつまんで説明をいたしますと…このゲーム、ストーリーを進めていく上で自分の生き方を…"性善説"的な「ロウ」と"性悪説"的な「カオス」という2つの属性から選択をできるようになっているんですね。で、そこで仲間にできるモンスターであるとか、ストーリーの展開が変わっていくという。
 
何かですね、「ジュエルペット ハッピネス」って、これに良く似てると思うんですよ。ハートフルなストーリーとカオティックなギャグという両極端な要素が同時にあって、観る人がどちらに重きを置くかによってアニメそのものに対するイメージであるとか、好きなエピソードが分岐をする感じ。
 
凄くアンビバレンツな要素によって構成をされていると思うんですよね「ジュエルペット ハッピネス」というアニメは。で、「ハートフル」と「カオティック」という2つの魅力を「真・女神転生」的な「ロウ」と「カオス」という2つの属性に見立てて考えてみるのもちょっとおもしろいかな、と。
 
…まぁ、自分は完全に「ジュエルペット ハッピネス」を「ロウ」な目線で観ていて、あのアニメの優しかったり、心温まるようなエピソード、キャラクターが好きですね。この辺は、それぞれの目線や個性が垣間見えておもしろいところかな、と。
 
貴方の「ジュエルペット ハッピネス」観は「ロウ」ですか? それとも「カオス」ですか?