テレビアニメの建物探訪 - 2014年冬アニメのお家を考える
戸建ての外観や間取りを見るのが大好きで、ついついテレビアニメを観ている時も劇中に登場する建築物に目がいってしまいます。建築について専門的に勉強をしてきたわけではないので、建物の描写について深い考察は出来かねるのですが、それでも各キャラクターが生活を営んでいる家についてアレコレ考えるのは私にとって楽しいもの。
そんなこんなで、今回のエントリでは今期のアニメ作品に登場をする戸建てについてアレやコレやと渡辺篤史さんの建物探訪ばりに書いてみたいと思います。♪とっきどき〜遠くを見つめる〜不安そうなあなたのよっこがお〜（by小田和正さん）
■今期のベスト戸建は…「未確認で進行形」の夜ノ森家！
今年の1月からスタートをしたアニメにも多数の魅力的な物件が登場をしましたが、中でも自分の中で一番のお気に入りなのが「未確認で進行形」の夜ノ森家です。
何といってもこの家は立地が抜群に素晴らしい！ 角地状に道路に面していて、画面で観る限りその道路の幅もシッカリと取れている。これなら車の出し入れも楽々だし、二面が開けているから開放感と採光も抜群です。通気性と日当たり良好な敷地に対して、その面積も広い。駐車スペースも住居とは個別に設けられています（所謂"ビルドインガレージ"という建物と駐車スペースが一緒になった造りとは違う）し、一般家庭には十分過ぎる位に広い庭もある。更には住宅街で周囲には高い建物もなし…、まさに敷地として最高の条件が揃っています。
そして、そこに建っている建物も素晴らしい。現代的なカウンター＆オープンのシステムキッチンに広めのLDK。主人公の小紅は料理を始めとする家事全般が得意な女の娘とのことですが、このキッチンなら毎日のお料理作りも確かに捗りそう。作りは二階建てで、都会の狭小な敷地による三階建ての戸建てのように階段の昇り降りで苦労をすることもありませんし、角地で二階建てで広いLDK…という住まい探しをしている人ならば誰もが夢見る理想の条件が全て揃った物件だと言えます。
他にも居室に目を移してみれば、夜ノ森姉妹の自室である洋室に加えて、"押しかけ婿"として居候の身となった三峰兄妹の為の和室もある。急に家にやってきた兄妹の為にすぐに部屋が用意をできるということは、この部屋は普段はほとんど使っていない居室だったのではないかと思うのです。その辺りを省みるに、全体の部屋数は不明ではあるものの、間違いなく4LDK以上はあるゆとりの造りになっているのではないかと思います。
角地、広い土地、機能的で現代的なシステムキッチン、そして、ゆとりのある間取り…と本当に褒めるところしかない敷地と建物に加え、劇中での描写を観る限り学校や大型の商業施設にも徒歩圏でアクセスができる環境も整っている。通学や買い物にまつわる住環境も最高。「未確認で進行形」の舞台は、福島県とのことですが、果たしてこんな新築戸建を都内で購入しようと思ったら、一体何千万円必要なのか…。夜ノ森家は、最高に贅沢な住まいと言えるでしょう。まさに、心の底から住みたくなる家。100点満点どころか120点は付けられる家。素晴らしいと思います！
■何だか気になる「いなり、こんこん、恋いろは。」の伏見家
自分の中で今期のナンバーワン物件が「未確認で進行形」の夜ノ森家ならば、最も気になる物件が「いなり、こんこん、恋いろは。」で主人公の伏見いなりが暮らす伏見家。
というのが、この伏見家。ちょっと特殊な作りになっていて、2階建ての建物なんですが外に階段が付いている。2階からも出入りが出来るようなんですよね。つまりは、1階と2階にそれぞれ独立した出入り口があるという、二世帯住宅のような構造になっているんです。
恐らくは、いなりちゃんのご両親が漫画家で自宅を仕事場にしているからなのではないかと思うのですが、この辺りは色々とイマジネーションを膨らませてみると楽しいところ。アニメを観る限り、伏見兄妹は2階にそれぞれの自室があるようなので、伏見家では1階を仕事場、漫画制作の現場として使用をしているのでしょう。子供達が出入りをしても仕事の邪魔にならないように、2階にも出入り口を作ったのか、それともかつては御爺ちゃん御婆ちゃんと同居をしていて、二世帯住宅として使用をしていたのか…。
前述の夜ノ森家と比べると、グッとシックなキッチンやダイニングの作りを見るに、建物自体にもなかなかに歴史がありそうです。いずれにせよ、こういう二世帯住宅的な構造の戸建てが出てくることってアニメではなかなかに珍しいので、思わず気になって言及をさせていただきました。
■今期のワーストは戸建は…違法建築なこの物件！
最後に、もう一軒だけ気になった冬アニメの住居を建物探訪。先ほど、今期のベストを挙げましたが逆に今期のワーストとしてピックアップをしたいのが、「世界征服〜謀略のズヴィズダー〜」で世界征服を目論むズヴィズダー一味が暮す住居。
戸建て…というか巨大な賃貸併用住宅、或いは、大規模な寮…といった趣の建物ですが、何と言っても目を惹くのは建て増しに建て増しを重ねたかのようなボリューム感に溢れ過ぎのその外観。建蔽率、容積率なんて何のその、景観法なんて知らぬ存ぜぬと言わんばかりの違法建築っぷりが、ここまでくると寧ろ清々しい。周囲に他の住居がないから良いようなものの、こんなんが普通の住宅街に建っていたりしたら日照や景観の関係で周辺からクレームが鳴りやまないでしょう…。
この建物、中古で売りに出そうとしたら間違いなく買い手側のローンは通らないでしょうね…。余りにもアナーキーかつアウトレイジな建築っぷりに、恐らく、銀行とかからの不動産的な資産価値の評価はかなり厳しいものになるはず。敷地は広いようなので、売りに出すとすれば建物を取り壊して更地にするしかないか。ただ、これだけの建物を取り壊すのに、一体、どれだけの費用が必要になるのか…。いずれにせよ、そういう意味では非常に"アニメ"らしい建物だと言えます。
また、間取りもメチャクチャで食堂の真横にトイレがあったりする。或いは、厨房室がロケットになって天高く飛び出したりも。建築の常識を天高く超越をしたこのハチャメチャさ加減というのは、恐らく、作品内で意識をして持ち込まれたものなのでしょうが、とにもかくにも凄まじい。
故に、如何にも悪の組織の"基地"としての雰囲気とオーラはバッチリです。全世界の掌握、万物の征服を目指すヴィニエイラ様率いる悪の秘密結社、ズヴィズダー。彼女たちにとっては、一国家が作った建築基準法だ国土法だののルールは余りにもスケールの小さな、取るに足らないしがらみでしかないはずです。常識は破る為にあり（一方で禁煙に関しては異常にうるさかったりする自己中心的なモラルの価値基準も"悪"っぽくて素敵）、世界は征服する為にある。そんなズヴィズダーの基地としては、この建物は非常に相応しいものであるのかな、と。
…ただまぁ、こんな尋常じゃないレベルの違法建築。住みたいかというと、絶対に住みたくないですけどね、私は。
