Stiff Little Fingersの来日公演に行ってきた

 

 
やってきました、Stiff Little FIngers! 行ってきました、Stiff Little FIngers! この目で観てきました、Stiff Little FIngers!!
 
ということで、先日行われたStiff Little Fingersの来日公演に行って参りました! そんなこんなで、今回のエントリでは、そのレポートなんかをアレやコレやと書いてみたいと思います。
 
 

■個人的なStiff Little Fingersに対する思い出

先ず、ライヴの感想の前にこのバンドに対する個人的な思い入れから。一番最初にこのバンドの名前を知ったのは、学生時代に購入をした某UK Punkのコンピレーションアルバムがきっかけだったと思う。そこに収録をされていたStiff Little Fingersの楽曲が、名曲"Alternative Ulster"。ちょっと切ないギターメロにキャッチーな歌声が絡み合う、それでいて英国のパンクロックらしいノリの良さと攻撃性も併せ持った奇跡のような曲で、自分は一発でこのバンドが好きになってしまった。
 
そして、続いて彼らの1st.アルバムである『Inflammable Material』を購入。今でも、大好きな一枚だが、購入当時はその音を聴いてかなり驚いた記憶がある。というのが、"Alternative Ulster"のようなパワーポップ調の曲を期待して聴いてみたら、他の収録曲は予想以上にハードコアで、もっと荒々しい音だったからだ。"Alternative Ulster"のメロウな歌い方とは正反対な、ジェイク・バーンズのがなる様な歌声も衝撃的だった。そんなわけで、色々と聴いた初期のUKパンクバンド群の中でも、このバンドとの出会いというのは非常にインパクトがあるものだったように思う。
 
この1st.に対する思い入れというのは、他にもある。それというのが、このアルバムが英国のインディーレーベルであるRough Tradeレコードの一番最初のリリース作品であるということ。本作を買った当時は、まだまだ"UK NEW WAVE"という音楽ジャンル、ムーブメントの存在は知らなかったものの、後にこの摩訶不思議な音楽の虜になった自分は、当然、Rough Trade関連のリリース作品を聴き漁る様になるのだが、そのスタートラインとなったのが、パンクっぽい若さと衝動と…それからちょっと甘酸っぱいメロディーがタップリと詰まった、この『Inflammable Material』だった…という事実は、パンクとニューウェーヴの関係性を振り返る上でも非常に示唆と重要性に満ちたトピックであると今でも思っている。
 
あぁ、それから、Stiff Little Fingersというと、アレも忘れられない! ジョン・キューザック主演のちょっとオフビートなラブコメ映画「ハイ・フィデリティ」で、レコードショップで働く主人公の友達(スゲーいい奴だがスゲー内気!)が、店を訪れた女の子にオススメの作品として、Stiff Little Fingersのレコードをかけるシーン。「このバンドは、Green Dayに多大な影響を与えて…」みたいなことを言いながら、『Inflammable Material』を紹介してそれがきっかけでその女の子と付き合い始めることになる…という色んな意味で音楽好きな男子にとっては夢の様なシーンで、アレ、本筋にはアンマリ関係ないワンシークエンスなんだが、妙に好きだった。
 
そんなわけで、青春時代の思い出だったり、好きな映画と結び付いていたりで、思い入れも多大にあるStiff Little Fingers。そんなバンドを生で観れる喜びをヒシヒシと感じながら目撃した彼らのライヴは、本当に素晴らしいものだった!
 
 

■大変に良かったです、Stiff Little Fingers

当日は、仕事終わりに同行者と会場近くの飲み屋で飲んでいた為、ちょっと遅目に会場入り。前座のバンドが最後の曲をやっているところで、そのままセット転換時にDJがかけるThe Clashの楽曲(ナイス選曲!)に身を委ねつつ、Stiff Little Fingersの登場を待つ。
 
会場入りも良好。ご年輩のお客さんも多いが、ヤング・ジェネレーションのパンクスも多く、鋲ジャンやトロージャンヘアでバッチリと"キメ"た気合の入ったファンも。ピストルズやクラッシュ、The DAMNEDといった"メジャーどころ"に比べると、ちょっと知名度的には分が悪いSLFだけど、やっぱりパンクが好きな人なら、皆、このバンドのことが大好きなんだなぁ〜とシミジミと思う。
 
9時近くになって、遂にStiff Little Fingersのライヴがスタート。生で観たジェイク・バーンズは、やたらとギターと歌の上手い太ったおじさんで、流石に往年のパンキッシュな佇まいやアグレッションには欠けていたものの、だからこそ、歌やメロディーのスイートな部分がより前面に出ていて、このバンドのポップ・フィーリングに一番最初に惹かれてファンになった自分みたいな人間には、今のStiff Little Fingersの歌と音が物凄く気持が良かった。
 
やはり、このバンドの持ち味はパンクの攻撃性と同居するポップな感性、メロディー作りの上手さなのだとその姿を生で観て再確認をする。今年リリースされたアルバム『No Going Back』からも何曲か披露をしたのだけれど、いずれも90年代のメロディックパンクにも通じる陽性のメロディーが印象的なナンバーで、前述の「ハイ・フィデリティ」の挿話ではないのだけれど、やはり、このバンドは一連のメロコア、ポップパンク勢の元祖でもあるという事実にも改めて気付かされた。
 
勿論、アイルランド出身という出自もあって、政治的なメッセージを持った楽曲もある。シリアスでハードコアな歌詞も。ただ、それを抜群に素晴らしいメロディーに乗せて歌えるところがこのバンドの凄さで、例えば、この日のステージでも披露された"Tin Soldiers"なんかからも、そんなバンドの二律背反なパンク精神を感じることが出来た。
 
それから、やっぱり、このバンドは一緒に大合唱を出来るところが良いよなぁ! "シンガロング"出来る名曲達というのは、やっぱりパンクバンドのライヴには於いて、重要な魅力の一つだ。"Fly the Flag"では皆で"ギミギミギミギミ!"の大合唱。この辺も、やっぱり現代的なパンクサウンドを先取りしていた感がある。
 
最新の曲も良かったが、やはり、会場的には1st.や2nd.アルバム収録曲の盛り上がり方が凄まじく、バンドもその辺のニーズをシッカリと掴みとってバランス良くセットリストを組んでいた印象を受けた。1st.アルバムの中でも特にポップな名曲"Barbed Wire Love"を聴けたのは嬉しかったし、本編のラストは"Suspect Device"。そして、アンコール後の大締めは、やっぱり"Alternative Ulster"で、会場大盛り上がりのままライヴは終了。時代がどんなに流れても、Stiff Little Fingersここにあり! を見せつけてくれた良いライヴだった。…あぁ、良かったなぁ、Stiff Little Fingers! 本当に良かった!!
 
ライヴ終了後に物販でTシャツを買おうとしたら、最終日ということもあって、Tシャツはおろかほとんどのグッズがソールドアウトになっており、今回の来日公演の成功とこのバンドの人気の高さを感じられたのも何だか嬉しいトピックだった。