アニメの放送期間と物語に対する時間感覚






何だかツボに入ってしまい、毎週の放送を楽しみにしているテレビアニメディスク・ウォーズ:アベンジャーズ


ところで、このアニメを観ていてビックリしたのが、そのストーリー展開のスピード感。そこで、感じたことをちょっとアレやコレやと書いてみたいと思います。




■物凄くゆっくりに感じた「アベンジャーズ」の物語展開

ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」では、アニメのスタート当初より、ディスクに閉じ込められたマーベルのヒーロー達を主人公の少年少女達が救い出す…という展開が続いていたのですが、最新話である第8話「勢揃いアベンジャーズ」にて遂にアイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカ、ハルク、ワスプ…という物語の中心となる5人のヒーロー、"アベンジャーズ"が再集結


キャプテン・アメリカの力強いアベンジャーズ・アッセンブル!」という台詞と共に"to be continued"となったわけですが…。物凄く素直な個人的感想を言わせていただくと、ここまで長かったな! と。主要キャラが出揃う迄に全8話。ハリウッドの映画版でもお馴染みの「アベンジャーズ・アッセンブル!」という一番気持ちの良い決め台詞が出てくるのに8週間掛かっているわけですからね。


ただ、よくよく考えてみれば、昔はこの位のペースで物語が進むのがアニメでは普通だったんだよな…とも思うわけです。いつの間にか、深夜の所謂"1クール"、全12〜13話の構成のアニメ作品に慣れてしまっていたせいで、「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」というアニメ作品のストーリー展開が凄くゆっくりに思えてしまっただけで。本作の放送期間が半年なのか一年なのかは未だ分からないのですが、その尺で考えてみれば現時点ではまだまだ物語の折り返し地点にも達していない、序盤も序盤のハズ。


ですから、主役級のヒーロー達の総登場にこれだけの話数を費やしても全然おかしくはありません。寧ろ、深夜アニメのショートチューン的な展開に慣れた人間からすると、"タメ"が効いている分、ストーリーに対するカタルシスもタップリで、これは普段メインで観ている深夜アニメではなかなか得難い情感だよな…等とシミジミと思ったのでした。




■朝、夕方アニメと深夜アニメの時間感覚

とにもかくにも、深夜の1クールアニメの時間感覚に慣れ過ぎていて、長期スパンで放映をされる夕方アニメのスピード感に違和感を感じる様になっていた自分に驚きました。そんなこんなで、普段の視聴を深夜アニメ中心にしている人間からすると、たまに朝や夕方に長期スパンで放映をされているアニメを観てみると、こういう新しい発見があって非常に新鮮味を感じられたりも。


当たり前の事ではあるんですが、一年を掛けてストーリーを紡ぐのと、三ヶ月間でストーリーを綴るのでは全くフィーリングが異なります。当然、放映期間に余裕がある方がゆっくりと時間を掛けて物語を紡ぐことが出来るので、様々なストーリーの膨らませ方も出来ますし、タメを効かせることもできる。


一方で、1クールのアニメ作品でも物語の重厚感が半年、一年を使って放映をされたアニメ作品と同等か、それ以上の重厚さを持った作品は沢山あります。寧ろ、短いスパンに物語を託す、ストーリーを描く技術はどんどん洗練をされている


■「いなり、こんこん、恋いろは。」最終回に寄せて


例えば、自分が今年になって凄く驚きがあった作品がいなり、こんこん、恋いろは。。この作品は深夜アニメとしても放映期間が短い全10話という構成。来月にリリース予定の単行本最新巻のオマケに付いてくるOADで1話分のアニメが追加され、最終的には全10話+1話になるんですが、それでも僅か10話のテレビ放映で凄くシッカリと物語が完結をしているんです。初回から最終回まで、全10話。されども、物足りなさは全く無し。物語を描き切る為にジャストの長さの全10話。


この作品なんかは、自分にとっても凄く衝撃的で、1クールアニメとしてもショートな全10話という構成にも関わらず、物語としての密度が高く感じられて、脚本や構成に上手さを感じた作品だったんです。そういう意味では、"物語"を紡ぐ上で1クール、三ヶ月間…という時間が凄く作品にフィットをしていたとも言えるんじゃないかと。


朝や夕方のアニメの長期スパンと深夜アニメで主流になっている1クール。勿論、どっちが良い悪いというわけではなく、それぞれの物語の描き方があり、そこにはクリエイターの創意工夫があり、それぞれの魅力と持ち味がある。


そして、それぞれのストーリーの描き方について思いを馳せる、注視してみるのも週に一度の放送で物語を紡いでいく"アニメ"という表現の楽しみの一つではないかと思うのです。そんなこんなで、普段は深夜アニメしか観ない人も、時には一年スパンとかで放映をされているキッズアニメを観てみるのもおもしろいんじゃないかなと思います。時間感覚がまた独特で、意外な発見があったりしますから。