シュールで不条理で石膏なのに、でもテクノなアニメ『石膏ボーイズ』






先日、エントリを書いた『おしえて! ギャル子ちゃん』と同じく、『ULTRA SUPER ANIME TIME』枠内で放送されているアニメ『石膏ボーイズ』。


ジョルジョ、メディチ、ヘルメス、マルスという4人(4体?)の石膏像がアイドルグループを結成し、芸能界で頂点を目指す……という初期設定からしてムチャクチャに不条理なショートギャグアニメです。


主人公に"石膏像"を用いるというギミックを使っている時点で、既にナンセンス度数は相当に高いわけですが、劇中では、その初期設定を上回る更に激しく不条理なギャグのオンパレードが。


女性人気の高い男性声優さんが揃っていらっしゃるので、「女性に向けた作品なのかな?」と観る前には思っていたのですが、実際に観てみたら、思いっきり笑いに振り切った作品でした。『石膏ボーイズ』、おもしろいです!


さて、そんな『石膏ボーイズ』ですが、ちょっとその音楽面に関しても書いておきたいことが。今回は、本作にまつわる音楽の話をアレやコレやと!




■石膏なのに、音楽は超アゲアゲなテクノサウンド




ぶっ飛んだ設定やカオス度高めのナンセンスなギャグと並んで、本作の大きな特徴となっているのが、その音楽だと思います。不条理な笑いを存分に使用したギャグアニメでありながら、その音楽には非常にカッコのよろしいテクノが使われているのです。





BGMもスタイリッシュで楽しいのですが、何といっても最高なのが主題歌の『星空ランデブー』。石膏ボーイズの4人が"いい声"で歌い上げるこのナンバーの曲調は、超アゲアゲのテクノサウンドとなっています。


えげつない程アッパーなシンセサイザーの使い方などは、近年、世界的に大ブームとなっているEDMのような享楽的でポップな方向性に振り切ったテクノサウンドを思わせます。ちゃんとリズムは四つ打ちだし、キチンと時流にもマッチしていますし、アニメ作品の主題歌としてもポップに味付けされている、非常にカッコ良いナンバーです。




■満寿田ムーブマンさんって……誰っ!?




ちなみに、この曲の作曲者は『ユリ熊嵐』のオープニング曲『あの森で待ってる』を歌っていたボンジュール鈴木さん。


注文した『星空ランデブー』のCDが現時点で手元に届いていないので、未だフルでは確認できていないのですが、TVサイズで流れてくる歌詞をヒアリングする限り、アイドルとしての信念や心得をリリックにした、非常に作品性に寄り添った歌詞という印象を受けました。「メランコリックなんて吹き飛ばして」って一節が凄く良いです。


そして、その歌詞と歌声を盛り上げるテクノサウンドを作ったのは……満寿田ムーブマンさんという方。正直、「誰なんだ!?」という感じですが、恐らくはどなたかの変名でのクレジットではないかな、と。満寿田さんは、本作でBGMも手掛けており、そちらでもテクノなサウンドを堪能できます。


メロディが明快で、シンセが超アッパーで、歌詞も良い。とにかく"ポップ"な楽曲なのですが、作曲者は謎に包まれているという……ちょっと不条理感が含まれている辺りも『石膏ボーイズ』の主題歌らしくて、そこも素晴らしいと思います!




■テクノなアニソンが熱い2016年冬アニメ

石膏なのにテクノ。アナログなものとハイテクなものが組み合わさって生まれる不思議な輝き。そんなギャップも『石膏ボーイズ』の魅力の一つといえるかもしれません。





"テクノ"を意識して観てみれば、劇中にはきゃりーぱみゅぱみゅさんを元ネタにしたキャラクターも登場(花屋敷ミラ)しますし、"テクノ"や"EDM"は、本作の重要なモチーフとして当初から意識されていたのかも……なんて気もします。


いずれにせよ、石膏とテクノという本来ならば、遠く遠く隔たりがあるもの同士が、本作では組み合わさることで奇妙なおもしろさを発揮しているという、そこは本作のユニークな点でしょう。


『星空ランデブー』の他にも、『Dimension W』オープニング主題歌の『Genesis』(新谷良子さんに数々のカッコよろしい楽曲を提供していたR・O・Nさんの曲!)や、ZAQさんとTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDによる夢の共演が楽しめる『紅殻のパンドラ』エンディング曲の『LoSe±CoNtRoL』など、テクノサウンドが楽しめるグレートなナンバーが揃い踏みしている2016年の冬アニメ。


この後も、続々とテクノなアニメソングに登場してもらいたいところです!