英語版タイトルがカッコいいアニメ、漫画、ラノベ作品

 

■改題っておもしろいよねっ!

 
洋画や洋楽が大好きなんですけど、内容の良し悪しとは別に、作品の邦題を見るのが大好きなんですよ。
 
最近は、映画でも音楽でも、原題をストレートにカタカナ化したものか、観る側に余り違和感を感じさせない程度の意訳が好まれているようですが、一昔前の邦題のセンスのぶっ飛び具合は凄い!
 
The Beatlesの「A Hard Day's Night」は「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! 」だし、映画化されて日本でもヒットしたアメコミの「ファンタスティック・フォー」の昔の邦題は「宇宙忍者ゴームズ」ですからね。
 
邦題の付け方って、
 

1.タイトルを直訳
 
2.原題を、意訳、変訳

 
っていう、二つのパターンがあると思うんですよね。
 
具体的には、
 
<タイトルを直訳>
 
The Clashのアルバム「White Riot」→「白い暴動」

白い暴動

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サム・ペキンハーの映画「Straw Dogs」→「わらの犬
わらの犬 [DVD]

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<原題を、意訳、変訳>
 
The DAMNEDのアルバム「Damned, Damned, Damned」→「地獄に堕ちた野郎ども」
地獄に堕ちた野郎ども

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King Crimsonのアルバム「Larks' Tongues in Aspic」→「太陽と戦慄」
太陽と戦慄 (紙ジャケット仕様)

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といった具合に。
 
クラッシュのアルバムとか、直訳されたものも決まっているものは、バッチリ決まっているんですけど、個人的に、見ていておもしろいのは、変訳や意訳されて改題されたタイトルなんですよね。
 
訳者のセンスや時代背景、文化背景、ライセンスしている会社の販売戦略などなど。
いろいろなものが、邦題からは見えてきておもしろいんですよ!
 
で、フト思ったんですけど、逆に日本のアニメや漫画がアッチで翻訳され、タイトルを変訳、意訳された場合、どういう改題が行われているんでしょうか?
 
ちょっと気になって、自分なりにいくつか調べてみました。
 
調べてみると、おもしろいものがいくつかあったので、個人的に「これは、カッコ良い! センスがある!」と思ったものを書き連ねてみます。
 
 

■海外で改題されたアニメ、漫画、ラノベ

 
■「砂ぼうず「Desert Punk」
これは、単純に言葉の響きがカッコいい!
この「Punk」っていうのは、SF用語の「Cyberpunk」とか「Steampunk」とかの「Punk」なんでしょうか?
ストーリーも、「Desert Punk」=「砂ぼうず」こと、主人公の水野灌太が劇中で、相当にパンクな活躍をするの作品なので、ピッタリなタイトルだと思います。

 
■「君が望む永遠「Rumbling Hearts」
元々は成人パソコンゲームが原作である「君が望む永遠」は、コンシューマ移植時の「Rumbling Hearts」というサブタイトルが、そのまま英語圏でタイトルになっているようです。
調べてみると、英語で付けられたサブタイがそのまま、海外で本タイトルに…って、パターンの作品もいくつかあるみたいです。
「Rumble」って「喧嘩する」とか「葛藤する」みたいな意味ですよね?
抽象的な原題よりも、ドロッドロの三角関係を描いた本作の雰囲気を的確に表現した良いタイトルだと思います。
ちなみに、「冬のソナタ」で本作のシナリオがパクられたんでは? という話題が一時期ありましたが、アニメ「Rumbling Hearts」は、アメリカ、カナダ、英国を始め、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、フランス、フィリピンでライセンスをされているようです。
みんな、三角関係が好きなんだね……。

  
■「影からマモル!」「Next Door Ninja」
■「十兵衛ちゃん「Jubei-Chan the Ninja Girl」

二つとも、やっぱりアメリカ人は、NinjaやSamuraiが大好きなんだな〜ってのが分かる妙訳。
でも、「十兵衛ちゃん」はニンジャじゃなくて、サムライ(隠密剣士?)だと思うんだけど、どうなんだろう?
「影からマモル!」の「Next Door Ninja」は、ロスアンゼルスSeven Seas Entertainmentがライセンスしている英語版ノベルのタイトルみたいです。
「隣の忍者」みたいな。主人公の忍者の少年が、お隣に住んでる女の子を守るお話なので、暖かみが伝わる、いい英訳ですね。
ただ、まだ刊行はされていない(?)みたいで、現行で流通をしているのは、Dr. Master Productions Inc.という出版社から出ているバージョンのようです。そっちのタイトルは「Mamoru The Shadow Protector」。
う〜ん…個人的には「Next Door Ninja」の方が、「影マモ」のコミカルな感じが出ていて、ナイスな改題だと思うんですけど……。
 
で、そんなニンジャ、サムライ系の作品でも、絶妙な訳がついたのがコレ!
 
■「ニニンがシノブ伝「Ninja Nonsense: The Legend of Shinobu」
ニンジャ・ナンセンス! いや〜、これは素晴らしいセンスですね! この英題に「シノブ伝」という漫画の作風やギャグセンス、テーマといった全ての本質が体現されている、と言ったら言い過ぎでしょうか?
現題は「2×2=4」と「忍者」と「シノブという主人公の名前」という、3つの言葉の意味がミックスされた比較的複雑なタイトルだと思うんですけど、確かにこのニュアンスをそのまま伝えるのは難しい。
「Ninja Nonsense」という、大胆な変訳でも、古賀亮一イズムが伝わってきます。

 
■「今、そこにいる僕「Now and Then, Here and There」
大地丙太郎監督の異色作、「今、そこに僕」の英題は「Now and Then, Here and There」。
暴力に満ちながらも、哲学的な「今、そこにいる僕」というアニメにピッタリだと思います。

 
■「だぁ!だぁ!だぁ!」「UFO Baby」
「UFO Baby」って、カッコいいタイトルだなぁ〜、何だろ? と思ったら、ナンと桜井弘明監督のキッズアニメ「だぁ!だぁ!だぁ!」でした。
宇宙から来た赤ん坊を育てる話だから、間違ってはいないんだけど、何かギターウルフみたいなネーミング・センスですね。イカす!
ちなみに、スペインとイタリアで放映された際のタイトルのようです。
 
■「ヤマトナデシコ七変化「The Wallflower」
ワタナベシンイチ監督の暴走オカルト・ラブコメディー「ヤマトナデシコ七変化」は、「The Wallflower」。
原作の漫画も、同タイトルで英訳されています。
ウォールフラワーっていうのは、こんな花みたいです。
歌の歌詞に「wallflower」とか頻繁に出てきますし、同名のアメリカン・ロックバンドとかいましたよね(確か、ボブ・ディランの息子のバンドだったハズ)。
「wallfower」って英語圏では、何か特別なニュアンスのある花なんでしょうか?
ちょっと調べてみたら、開花後すぐに枯れてしまう花らしいので、「切なさ」みたいなイメージがあるんですかね?
きっと、花のイメージの文化的な差異による改題なんでしょうね。
 
※追記:コメント欄、ブクマコメントにて、「Wallflowerは「壁の花」という意味」である、との情報をいただきました。
 

 
■「ゼロの使い魔「The Familiar of Zero」
割と直訳なんですけど、「familiar (spirits)」っていう単語には、「(魔女などに)仕えるもの」っていう、本作における意味の他に「親しいもの」っていう意味もあるので(っていうか"familiar"単独だと、こっちが一般的な使い方だと思うんですけど)、ルイズと才人の関係性が、原題よりも的を射ているようで、いい訳だな、と。

 
ところで、英国圏でも、釘宮病が蔓延しているのかなと思いきや、ちゃんと吹き替え版で放送されてたみたいです。
ちなみに、ルイズの吹き替えを担当されたのは、Cristina Valenzuelaさんという声優さん。「リリカルなのは」の高町なのは役もやってらっしゃる声優さんだそうです。へ〜。
本家の釘宮さんの人気も凄くて、海外のアニメファンBBSを覗いてみると、ファンの多さに驚かされます。「Tsundere」「Kugyuu」みたいな単語が普通に使われていて、おもしろいです。
 
■「壮太君のアキハバラ奮闘記」→「I, Otaku: Struggle in Akihabara」
「I, Otaku」っていうセンスがいかにも欧米的でおもしろいな、と。
アイザック・アシモフの「I, Robot」みたいな。
「Struggle」は普通に訳すと「取っ組み合い」ですが、ニュアンスは伝わりますね。
前述のSeven Seas Entertainmentから、英訳版のコミックスが出ているみたい。同社のサイトで、英語版の試し読みもできます。
 
 

■やっぱり、改題って…。

 
邦題とは反対に、日本から海外へと紹介された作品につけられた「洋題」(って、言葉はあるのだろうか?)、英語版のタイトルも色々見てみると、やはり訳者のセンスや、文化背景なんかが色々と見えてきておもしろいですね。
どれも、異なる言語の作品が、異なる文化圏に紹介される時に、そのギャップ、差異を少しでも埋め、理解の助けとなるように、色々な人が尽力した結果、生み出されたタイトルなんだと思います。
そう考えると、タイトルや題名って、作品の内容と同じくらい、ありがたみが感じられてきますね。
 
今回紹介した作品の他にも、おもしろい洋題やカッコいい洋題があれば、ご紹介いただけると幸いです。