「K」の第7話「Key」に本当にビックリした話と雑感と

 

 
最近、何が一番ビックリしたかというと、テレビアニメの「K」です。
 
第7話の「Key」というエピソードで、これまで積み上げてきたストーリー、描写に対する…所謂"大ドンデン返し"が行われたんですが、それが本当に凄かったというか…個人的な映像体験としても結構な衝撃度でした。
 
ちょっと、この第7話に関しては、色々と書いてみたいことがありますので、成るべくネタバレは避けながら、アレやコレやと感想エントリでBLOGを更新してみたいと思います!
 
 

■何とも不思議な味わいのアニメ作品「K」

「K」というアニメは、本当に不思議なアニメで、例えば超能力を使った派手なバトルやアクションシーンと主人公たちが過ごす日常の描写…例えば、学園生活であるとか食事のシーンであるとか…に妙な乖離感を感じていたのですが、その違和感みたいなものがこの第7話によって全て払拭され、繋がった。まさに、中盤の一つの大きな山場。
 
そう来たか! そういうことだったのか!! と。
 
そりゃ、コッチはビックリするわけですよ。キュートなビジュアルで主人公の側にいる…しかも佐藤聡美さんボイスの女子高生…そんな如何にもメインのキャラクター然とした登場人物が実は…だったなんて、結構な衝撃度です。
 
上手いのが、アレってアニメに親和性の高い人程、作り手の意図通りに画面やストーリーを観ちゃって、その衝撃度がより高くなるように出来ていたと思うんです。先の佐藤聡美さん演じる雪染菊理の件だってそう。佐藤さんが演じられているキャラクターなんて、物語の中でも結構に重要なポジションにいるキャラクターだと思うじゃないですか!(この後、菊理がより密接にストーリーに絡んでくる可能性もありますけど…)
 
あと、このアニメに出てくる登場人物ってどのキャラクターも"濃い"ので、ストーリーを観ていて多少の違和感を感じたとしても、そこにそこまで深い疑問を持たないようにできているというか、「まぁ、そういうもんなんだろう」で流してしまうような作りになっていたと思うんです。その辺も如何にも上手かったなぁ、と。
 
先に使えていた君主の遺した句をレコーダーに録音して何度も再生をするクロの変態的な描写であるとか、超能力を使って相手に幻を見せたり、猫から人間へと変身をするネコといった登場人物達は、性格や能力に皆、強烈な個性を持っていて、そんなある意味で「何でもアリ」な世界の中だと、少々"違和感"みたいなものを感じたとしても、そこは気にせずに流してしまう。この辺も、アニメに慣れている人程、乗せられちゃったところかもしれませんね。
 
「アレ、コレちょっと変だな?」とか「コレ、どういうことなんだろう?」…そう思う場面、幾度もあったと思います。でも、空にドデカい剣が突然浮かんだり、さっきまで刀を振り回していた男がいきなり部屋でご飯を作り出したりしたら、そっちのインパクトに目を持っていかれちゃって「まぁ、そんなもんなんだろう」で流しちゃうと思うんですよね。私がそうでしたし。また、音楽とかアクションシーンとかが抜群に良く出来ているものだから、深く矛盾や疑問点について考えなくても、何となく楽しめちゃう。
 
そんな「K」の世界観の中で、あのドンデン返しがドーン!
 
コレ、これみよがしに伏線を張っておくよりも、そのインパクトはよっぽど大きかったように思うんですよね。この世界観、設定、キャラクターで、そのドンデン返しをやるか! という。
 
 

■映画的だった「K」の大ドンデン返し


 
ところで、物語中盤でのサプライズ(であり、ストーリーの謎の一部を明かすエピソード)だった「Key」ですが、その描写、ディティールというのは、いみじくも劇中で"映画"をその演出に取り入れていたように、非常に映画的だったと私は感じました。
 


 
あのサプライズのイマジネーションと手法っていうのも、やっぱり映画っぽいというか、例えば2000年代の前半にヒットをしたジェームズ・マンゴールドの「アイデンティティー」であるとか、マーティン・スコセッシの「シャッター・アイランド」であるとか…あと、アレクサンドル・アジャの「ハイ・テンション」…といった、2000年代のサスペンス、ホラー系の映画に頻繁に用いられたテクニックと同じ方向を向いていたのではないかと思うのです。
 
つまり、それまで観ていた、観せられていた世界は、実は、偽りの世界で本当は…という"オチ"を最後に持ってくることで観客を手玉に取るというサプライズです。記憶、視覚、認識…そういった人間が生きていく上で絶対的に頼らざるをえないもの(本当は、恐ろしくあやふやで不確かなものではあるのだけれど)といったモチーフを巧みに使い、これらの作品は非常に刺激的な映画体験を私たちにもたらしてくれました。
 
物凄く力技でもあるんですけどね。こういうのって。「それをやったら、ホラーとかサスペンスは終わりなんじゃないか!?」という気持ちもあるにはあるんですが、でも、私は例えば「アイデンティティー」なんかは、やっぱりサスペンス映画の傑作なんではないかと思っています。それ位、甘美な刺激をこうした作品は有している。
 
そして、今回の「K」でも、私は物の見事に驚かされました。いや、やっぱり、アレも物凄い力技のトリックで、「それをやっちゃったら、もはや、何でもアリになってしまうのではないか!?」という不安もあるにはあるんですが、それ以上に観終わった後の高揚感の方が大きかった。
 
また、こういう大ドンデン返しを中盤に持ってくるというのも「K」というアニメの凄いところだと思うんです。ここから、まだ先があるというのは、実は自分にとっての一番の驚きだったり。
今、「K」を第一話から観返したら、「ああ、この場面も伏線だったのか!」とか「う〜ん、つまり、コレはこういうことだったのか!」というようなカタルシスが物凄そうですが、ラストにまたひと波乱、ふた波乱ありそうなので…最終回を観終わるまで、ひたすら我慢をしたいと思います!