餅は餅屋にまかせろ! 「たまこまーけっと」の餅について語る

 

 
たまこまーけっとを観ました。
 
商店街を舞台にしたホンワカ日常コメディーに、"喋る鳥"というちょっと不思議なキャラクターを取り入れた「けいおん!」スタッフによる京都アニメーションの新作アニメ。ノンビリとした気持ちで本編を観た後に迎えたエンディング。
 
「え? 4つ打ち!?」
 
あのノンビリしたテンポのストーリーの後に、いきなりクラブ・ミュージック、ダンスビート的なリズムが聴こえてきたんで、割と本気でビックリしました。
 
それはそうと、この「たまこまーけっと」を観て、EDの4つ打ちビート以上にビックリしたのが劇中に出てくる餅の描写です。今回のエントリでは、その辺についてちょっとばかしアレやコレやと書いてみたいと思います!
 
 

■餅は餅屋 - 餅のことなら俺にまかせろ!

たまこまーけっと」の主人公、たまこの家は餅屋を営んでいます。それにちなんで、第一話のタイトルも「あの娘はかわいいもち屋の娘」なわけです。もう、ビックリするくらいに"餅推し"なアニメなわけです。
 
だったら、このアニメを語るのは俺にまかせろ!
 
餅か! よし! 餅は得意だ!! 何を隠そう、私の前職は和菓子屋さんだったわけですよ! いや〜あの頃は、餅とか作ったね! 超作ったね! 柚餅子とかね!!
 
私が、初めて就職した会社が東京都下にある某和菓子屋さんだったのです。なので、餅に関しては任せろと。色んなアニメ感想BLOGはありますが、正直、その中でも私が一番餅については詳しい自信があります。餅の知識なら誰にも負けない! 作画や演出とかに関してはまだまだ勉強不足ではありますが、餅なら任せてください! まさに、"餅は餅屋"!! いや〜あの頃は、餅とか作ったね! 超作ったね! はなびら餅とかね!!
 
まさか、お菓子メーカーに務めていた際に身につけた知識が、アニメ視聴に役立つ日が来るなんて思いもしませんでした。私としては、まさに"棚からぼた餅"の気分です。
 
 

■「たまこまーけっと」の餅を見てみよう!

そんなこんなで、お菓子屋さんで大福とか柏餅を作っていた人間から見た「たまこまーけっと」の餅についての感想でございます。何はともあれですね…。
 

 
たまこの餅を扱う手つきが半端じゃない!
 
のであります。
 
ここまで、手際よく餅を扱える人間もなかなかいないでしょう。搗きたて、出来立ての餅って、想像以上に粘度が高い上に熱いので、扱いがかなり難しいんですよ、実は。なおかつ、大福用の餅となりますと、冷えて生地が硬くなる前に餡を手早く包む必要がありますからね。更に、高度な技術が必要になってくるのであります。
 
やるな、この娘!
 
私なんて、大福を作る時の手つきと段取りが悪くて、いっつもいっつも製餡部の小澤さんに怒られていたというのに…。
 
しかしながら、私が思うに、餅を扱う技術の高さが真に問われるのは、大福を作っている時ではなく、求肥を作っている時だと思うんですね、はい。あ、求肥っていうのは、非常に柔らかい餅のことであります。雪見大福のアイスを包んでいるアイツですね、アイツ。求肥の場合って、大福用のお餅以上に餅粉(餅米を粉にしたもの)に水と砂糖を加えるので、柔らかく、しかもベタベタして加工しにくいんですよね。で、求肥は、そこから更に白餡を加えて、練り切りというお菓子に加工したりもできますから。
 
うん、餅作りの腕前を見るには、大福よりも求肥やね(何で、ちょっと上から目線なの?)。
 
是非とも、「たまこまーけっと」でも、求肥を作るシーンを劇中に入れていただいて、たまこがあの柔らかい生地に悪戦苦闘する場面とかを描いていただきたいと思います。求肥を使って、綺麗な練り切りを作るシーンとかね。美しい練り切りは、和菓子の華やからね(だから、何で、さっきからちょっと上から目線なの??)。
 
…まぁ、自分の場合は本当は和菓子職人を目指して和菓子屋に就職をしたのはいいけど、生まれつき皮膚が弱かったもんで、洗い物をしていたら湿疹が手に出来まくって、しかも、そこから「食品を扱う人間が持っていちゃいけない菌」が衛生検査で検出をされて、お菓子を作れなくなって、現場を外されて、後は退職までずっと事務業務をやってたんで、正直、そこまで餅に対して詳しくないです。入社当時は、和菓子職人になって、たまこみたいに鮮やかな手つきでお菓子を作りたいという夢もあったんですが…結局は、叶わずじまい。まさに、"絵に描いた餅"になってしまったわけです。…言うほど、柚餅子も花びら餅も作ってないんですよね…本当は。
 
まぁ、そんなこんなで、夢破れた自分の分も、たまこには餅作りに励んで欲しいと思います(え〜! なんなん? この最高にしょーもないエントリ!?)。
 
…いや、でも曲がりなりにも和菓子作りを経験した人間(ほんのちょっとだけですが…)から見ても、あの大福を作るシーンの手つきの良さ、動きっていうのは素晴らしいと思ったし、細かかったと思いますよ、うん。